ワイヤレスヘッドホンをつくる その9 iPod用送信機をつくる1

 今までの話のなかで詳しくは触れませんでしたが、ヘッドホンをつくるためにはデザインも重要です。
 ヘッドバンドの部分は国内メーカが特許を持っているものを使わせてもらうことにしましたが、ハウジングの部分は特別にデザインしてもらうことにしました。音量ボタンや電源ボタン、リンク状態を示すLEDや充電用ジャックの穴など、有線ヘッドホンにはない部分が多いですが、当然、すべての部品の金型を作成する必要があり、多額の費用がかかります。海外製をOEMで購入する場合と比べて、こういう部分でどんどんコストが膨れ上がってゆきます。
Rexwhp1_headband_3  Haedphone_lamp_4
 新しく出来上がった金型で’試し打ち’を行い、何個か試作品ができると音質調整や基板の機能テスト、強度試験を行いますが、ワイヤレスヘッドホンではその他に、電波状態についてもテストや調整を行う必要があります。なにしろ、人間の右側頭部から15mmから20mm離れたところに受信機のアンテナを配置しなければなりませんので、地面(大地アース)の上にアンテナを置いているのと同じようなものです。また、受信機とはいえ受信状況やいろんなステイタス、確認応答信号などを送信機に送信しなければなりませんので、受信性能だけでなく、送信性能追求しなければなりません。
 実際はヘッドホンに基板を組込んで、頭に載せてあちこちうろうろ歩き回ったり、体をくるくると回しながら、音楽が途切れたり雑音が紛れ込んだりしないかどうかということを確かめてゆきます。REX-WHP1Uの場合は送信機がPCのUSBポートに接続する形のため、送信機からの距離や方向などをいろいろ変化させながらヘッドホン内部のアンテナの位置を決めてゆきました。

 私達はその頃、ワイヤレスヘッドホン(REX-WHP1)の開発と並行してiPodに接続するための送信機開発も行っていました。ヘッドホンと同時に発表、発売する計画も進行中だったのです。

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