Raspberry PiをAudio機器に組み込む #2

「ラズパイオーディオ」をもっと使いやすく

しばらく「ものつくり日記」的なBlog記事を休載していましたが、ネットワークオーディオトランスポート「RAL-NWT01」の発売(2017年5月)以降、ラズベリーパイ(Raspberry Pi, 通称:ラズパイ)も次々と新しい機種が登場し、Volumio や MoodeAudio などの音楽再生ソフトウェアもどんどん進化してきました。
私たちも継続してPCオーディオやネットオーディオの実験、研究を続けてきました。ラズパイに関しても、あまりLinux(リナックス)や、コンピューターに詳しくない人でもネットオーディオを楽しめるようなオーディオ機器らしいものを提供するという目標で、Computer Module(CM)用のキャリアボード(マザーボード, M/B)を作成し、オーディオ機器らしい筐体にいれたのが「RAL-NWT01」です。
RAL-NWT01に組み込んだキャリアボードはオーディオ専用としたため、I2S出力用コネクタなどを用意し、不要と思われるカメラインターフェイスやアナログ出力などを削除、5V, 3.3V, 1.8V の電源まわりに配慮したオーディオ専用として設計しました。

「RAL-NWT01PLUS」発表までの道のり
~誰もがラズパイオーディオに触れられるために~

ネットオーディオのキーデバイスとしてラズパイを活用するという例は、これまでいろいろなところで様々な人達によって発表されてきました。【Volumio】や【MoodeAudio】のようなラズパイで動作させることを目的とした音楽再生ソフトウェアや、HATと呼ばれる40pコネクタに装着するDACカードなども発売されてきました。
しかし、基板がむき出しであったり、簡単なカバーがかけられていたりで、実験用バラックセットやガジェットという感じであまりLinuxやハードウェアに詳しくない人がオーディオ機器として日常的に使用するということを考えると少し無理があるように思えます。
ラズパイ本体とHAT_DACカードを収容するケースもいくつか発売されていますが、それらはケーブルが横や縦方向にでていたり、一般的なオーディオ機器と比べ「らしくない」デザインであったりします。 また、ノイズや放熱の点でもあまりよいとは言えません。そこで私たちはあまりソフトウェアやハードウェアに詳しくない人も楽しめる「オーディオ機器ライクに、かつオーディオ機器メーカから発売されているネットワークプレーヤー並みに使えるラズパイオーディオを」ということで2017年春に「RAL-NWT01」を発売しました。
ただ、この2年の間でmicroSDカードの読み出しができなくなったという事故も何件か発生し、しかもユーザご自身で新しいmicroSDカードを購入し【Volumio】を インストールするということが難しく、当方で【Volumio】をインストールした新しいmicroSDカードを作成して送るということもありました。
また、Volumioの「システム」ページからバージョンアップを実行させると、config.txt※が置き換えられてしまうため、RAL-NWT01の特徴であるアクセスLEDの点滅や電源のAuto-OFFの設定が消されてしまうという問題があり、復活するためにはNWT01上で行うにしろWindowsPC上で行うにしろエディタなどが使う必要がありました。
※config.txt:コンピューター実行における決まりごとを記したファイル「環境設定」ともいう。
microSDカードの問題を回避するひとつの方法として「boot※時のみmicroSDカードから読み出し、以降はUSB接続したSSD上のFile Systemに移行するという策によりRaspbian Desktop(X-Window)上で【JRiver MediaCenter24】を動かすという例をBlogで紹介しました。しかしSSH経由でLinuxのコマンドを使うため、一般の方々には敷居が高かったようです。
※boot:コンピューターの起動時にプログラムを自動的に実行すること。
そこでLinuxのコマンドなどを駆使しなくとも、またmicroSDのことを気にせずに普通のネットワークプレーヤーとして使えるようなオーディオ機器という目標を設定してして「RAL-NWT01PLUS」を開発することとしました。

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