ワイヤレス ヘッドホンをつくる その1 プレリュード

Rexwhp2_1  当社にとっての2機種目になるワイヤレス ヘッドホンREX-WHP2が今週の月曜日(4月2日)に工場から届きました。部品不足などで当初の予定より遅れましたが、現在、送信機やキャリングケースなどの付属品を揃えて化粧箱に組込んでいます。来週末には店頭でみなさんのお目(お耳)にかかることでしょう。店頭で試聴やデモを行ってくださる予定の販売店名や日時は追ってお知らせします。
 音やデザイン、フィット感は店頭で実際に現物を手に取って試聴いただくことにして、本BlogではBlogならではの話題として「ワイヤレス ヘッドホンの誕生ストーリー」を掲載しようと思います。
本日はその第一回目ですが、発売日までこの話題におつきあいください。

 当社がワイヤレス ヘッドホン(オーディオ用としてのステレオ ヘッドホンです。ハンズフリー用のヘッドセットは最初から対象外です)に興味を持ち、商品化の可能性の調査を始めたのは2000年の年末くらいからです。実際に実験を開始したのは2002年の秋頃で、そのころの試作品はMP3のデータを2.4GHzの無線で送信してヘッドホン側で受信、メモリバッファに溜めた後、MP3デコーダchipでデコードしてDAC+オーディオアンプでヘッドホンのドライバを駆動するというものでした。iPodなみの結構「いい音」がでましたが、なんせRF部、BB(ベースバンド)部、プロトコル制御用のマイコン、MP3デコーダ、DAC、アンプ、バッファRAM、ファームウェア格納用のフラッシュメモリ、それにバッテリとバッテリ制御回路が必要だったので、大きさや重さ、バッテリの持ち時間などに苦労しました。頑張って小さくしてもiPod miniくらいの大きさが限界で、バッテリの持ち時間も3,4時間でした。当時はマイコンやMP3デコーダなどは低消費電力のものが次々と登場していましたが、いかんせんワイヤレスに必須のRF+BB部が「大飯食らい」でした。
 そこで、ヘッドホンだけでなく、まず最初に据置型で外部にアンプとスピーカを接続するようなタイプから商品化し、並行してヘッドホンの実験も行うことにしました。

 この試作ヘッドホンの受信機側の構成ですが、ヘッドホンアンプのかわりにLine出力バッファを入れればAirMac Expressと同じです。また、最近SONYなどから発売されているWi-Fiネットワーク対応のワイヤレスのNet-スピーカも同じような構成です。当社のREX-Linkシリーズやこれらの商品の出発点は似たようなものですが、当社は「特別なソフトウェアをインストールしたり、ネットワークの設定をしなければならないようなオーディオ製品は音楽を聴くのが目的の人には受け入れられない」と考えて、特別なドライバをインストールする必要がなく、送信機をUSBポートに挿すだけで使えるOS標準ドライバに対応したUSB+Wireless、いつも音楽を聴いているオーディオ機器に受信機を接続するだけでPCからの音楽を聴けるということを基本コンセプトにしてきました。当社の場合はAppleやSONYとは違って、PC(Mac)本体や独自のNetworkを持っていませんので、どんなPC(Mac)やオーディオ機器と組み合わせても音楽が楽しめるということを目指すのは当然のことです。
 ただし、オーディオ アンプやスピーカだけを対象にしていたのでは、世の中に一杯ありますので機種や組合せが多すぎて、開発時の実験や音質のヒアリングテストのレファレンスに何を使えばよいのかわからなくなるということや、社内で朝から晩まで大きな音で音楽を鳴らしつづけるというわけにもゆかないので、ヘッドホンを作ろうということになったのは本Blogの3月22日掲載分で述べたとおりです。

Rexlink1_jushin_hand1_2  最初に当社が発売しワイヤレス オーディオは据置型のREX-Link1(2003年11月発売)です。昔のジュークボックスのデザインにヒントを得た円筒型のデザインを採用しましたが、カタログやWebの写真から受ける印象では、「缶ビールくらいの大きさ」に見えるようで、現物を目にされた多くの人々からは「思ったよりも小さいね」という感想をいただきました。現物は小振りの爪楊枝入れか胡椒入れくらいのカワイイ大きさです。このデザインはREX-Link2にもそのまま踏襲しました。
 
 さて、話を本題のワイヤレス ヘッドホンに戻しましょう。
 当社がワイヤレス ヘッドホンを発売したのはREX-Link1発売の一年後(2004年11月)でした。53mmのドライバーユニットを使用した密閉型高級ヘッドホンで店頭価格も¥40,000近くしました。
 当社にはヘッドホンをつくる技術力も経験も設備もありませんので、当然ヘッドホンメーカから供給を受けることになります。したがって、ワイヤレス部やDAC部、アンプ部などの実験や開発と並行してヘッドホンのユニットを探し回らなければならなくなりました。

 探し回ったお話の続きは次回で。

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