DACまわりの改良で一番大きく音が変わるのは、DACの出力部のカップリングコンデンサ(DCカット用の電解コンデンサ)を交換した場合です。DC(直流)をカットしてアナログのAudio信号を通過させる働きをするこのコンデンサは、容量次第で低音域が出なくなったりする重要な部品です。オーディオの分野で使用されているコンデンサは真空管アンプではいろんな種類がありましたが、トランジスタアンプでは、全く信号経路にコンデンサを使用しないDCアンプが主流になりましたので、出力部のDCカット用の電解コンデンサのみが残っています。アンプの回路をIC化するには必然ですが、DCアンプで±電源を使用する回路やBTL構成の回路では、このコンデンサはありません。ヘッドホンのREX-WHP2で使用しているWolfsonのDAC、WM8751Lに内蔵されているヘッドホンアンプはこのような回路構成になっているため、出力の電解コンデンサは不要なので使用していません。AK4353の場合は内蔵フィルタやバッファアンプの出力がシングルエンドとなっているため、このDCカット用の電解コンデンサが必要になります。
この電解コンデンサもDAC同様、「関さば」のようにブランド品がいろいろ出回っています。私たちも写真のように、各ブランド品を集めて、ヒアリングテストを繰り返しました。実はREX-Link2では既にニチコンのUKシリーズというAudio用電解コンデンサをDACの出力部に使用していました。REX-Link2EXの場合、基板スペースに余裕がありますので、表面実装タイプ以外の各社のリード線タイプのAudio用コンデンサが使用できるようにあらかじめ基板を設計しておきました。
最初の候補は、自作マニアの間で人気のあるBlack Gateという特殊な構造をした電解コンデンサでした。実際に音を出して見ると、評判どおりのメリハリのある音が出てきましたが、残念なことに8月31日で生産販売終了となってしまいましたので、量産には使用できません。そこで、Black Gateは参考用に残して、ニチコンのMUSEシリーズ、ELNAのSilkyシリーズ(無酸素銅、金メッキリード線の特殊品も含め)、日本ケミコンのAudio用、三洋のOSコン(無酸素銅のリード線)などをとっかえひっかえヒアリングテストを行いました。
みんな、評判にたがわず音が少しずつかわりましたが、結果的に、ニチコンのMUSEシリーズの最高グレード品(KZシリーズ)を量産品に採用することに決定しました。私たちの間でもELNAのSilkyシリーズがいいという意見や、他の意見もありましたが、最終的にKZシリーズを採用することにしました。このコンデンサは表面実装タイプではありませんので、交換しようと思えばリフローラインがなくとも簡単に交換できます。したがって、ご購入いただいたユーザの方から、ご指定があればSilikyシリーズやOSコンなどに交換して提供することも可能ですが、Black Gateは秋葉原の店頭に在庫があるだけですので、ご要望にはお応えできません。
各コンデンサの「音の違い」は聴く人それぞれで評価がわかれますので、あえてここでは触れないことにします。私たちの耳には、現時点でMUSE-kzシリーズがいちばんいいと感じられたということです。いずれ機会があれば皆さん方、ご自身でお確かめ頂ければと思います。当然ですが、コンデンサを交換しても先日お見せしたような測定データはほとんど変わりません。でも「データに表れないが、音が変わる」のがAudioの魅力です。まあ、データの取り方が悪いということでもありますが、健康診断の数値程度に考えておいてくださればよいと思います。
容量と耐圧を教えてください。ケミコンよりフィルムの方が良いのですがスペースの関係で採用出来なかったと思われます。私は自己責任において外付けでやってみようかと思います。リチウムイオンバッテリーも11600mAhのマイバッテリーというのがありましてそれを使います。
やっと購入出来ましてやってみました。いくらオーディオ用といってもケミコンではレベルが知れてます。フィルムのいいのを使うとこの機器もかなりの情報量が増えて良い物になりましたよ。なんとかシャーシにも収まりました。MyBatteryExpertによる駆動もアダプターよりかなり良好です。ケミコンと良質なフィルムコンの音質差はすごく大きいです。
追伸 横浜ベイサイドネットで売ってるホブランドミュージックキャップというフィルムコンはお勧めです。他にもいろんなのがあります。