PS Audioという会社の部屋に行くと、入口の真正面に春に発売予定のMemory Playerが静態展示されていました。まだ、正式名も決まっていないのでカタログもなく、HP<http://www.psaudio.com>の製品ページにも掲載されていません。最初はUMP(Ultra Memory Playerの頭文字)という名称にしようとしていたらしいのですが、あまりにも冴えないので一般募集することになったようです。賞品はこのTransportを1台くれるそうです。
フロントパネルには2インチのカラーLCDが装備されており、いろんなメッセージだけでなく再生中の動画を表示することができます。ひょっとしたらLAN経由でGrace Noteにアクセスし、CDジャケットの画像をダウンロードして表示させることができるのかも知れません。肝心の機能ですが、Mac Bookのようなスロットローディング式のCDメカニズム(TEAC製で、静電気対策を施してあるとのこと)を内蔵しています。CDを挿入すると、エラー訂正を行いながら正確にAudio Digital dataを内蔵のメモリ上にコピーし、メモリ上のデータを独自に作成した正確な固定クロック(Jitterが少ない)に同期させて出力するという仕組みのようです。出力はS/PDIF(TOSlink・光、同軸)、AES、I2S(HDMIポートから出力される)の3種類です。DVDの映像などは、DVDから読み出してそのままHDMIから送り出されたり、フロントパネルのLCD上に表示されるようです。
入力としてはCDメカ以外に、LANポート経由でNASやPC上にあるCDをリッピングしたデータを内蔵メモリ上にコピーすることができるとのことです。したがって、NAXOSやNapstar、Internet RADIOなどのストリーミングには対応していません。また、USBのAポート(ホスト側)も持っていますので、USBフラッシュメモリやマス ストレージクラスとして認識される携帯Audioプレーヤーなどを接続し、それらから音楽データを取り出して再生できるようですが、対応フォーマットなどの詳細は不明でした。価格はUS$1,495とのことです。
この仕組みは私達が日頃、REX-Linkシリーズなどでパソコン(Mac)を使用して行っていることと基本的には同じです。CDの音楽データをエラー訂正を行いながら(PS AudioのMTではフロントパネルのLCDにエラー訂正情報がリアルタイムで表示されるようです)、メモリあるいはHDDにコピーし、それを独立した正確なクロックで読み出してDACに送り込むという処理は同じです。違いは一旦HDDにコピーするかどうか、それを読み出した後に、オーディオ処理用のドライバーソフトウェア、USBドライバーを経由させるかの違いです。また、通常のCDトランスポートとの違いは、一旦メモリ上にコピーして、独立した正確なクロックでLPCM信号を作り直すことによってCDの読出し時の問題を解決しようとしていることです。Word Sync機能や高価なルビジウム発振器による解決策と比べて、こちらの方が簡単なように思います。CD1枚は600MBですのでメモリは1GBもあれば充分です。最近は2GBのフラッシュメモリカードが信じられないような低価格で販売されていますので、このような機能(バッファメモリ内蔵のメモリトランスポート機能)が一般的になるのではないかと思います。PC AudioもAudio ドライバーソフトウェアを改良して負けないようにしなければなりません。