#2 その17 電源について(続き1)

 前回は試作した電源ユニットの回路を紹介しました。今回は部品について紹介してゆきますので、ご自分で作成される際の参考にしていただければ幸いです。

(1)ACライン用ノイズフィルタ。
 前回も触れましたが、ACラインに乗っかって侵入してくる高周波ノイズをブロックするためにはノイズフィルタが有効です。もともとコンピュータ機器や医療機器用として販売されていたものですが、入手も容易なのでTDK製のZUB2203U-11を使用することにしました。寸法やスペックはTDKのURLを参照してください。このフィルタは3Pのインレット、それにヒューズホルダが一体化されているので大変使いやすくなっています。本Blogの「その12 電線音頭♪♪」で取り上げたように、電源ケーブルを取っかえ引っかえ試聴するには3Pのインレットが必要です。ちなみに、それらの電源ケーブルで使用されているACプラグは松下電工製の医療機器用ACプラグ(WF5018)と同じ金型(National,松下電工ロゴは削ってありますが)を使用しているものが多く、そのまま売っていたり、端子部に金メッキやロジウムメッキを施したものが販売されています。ご自分でケーブルを作成される方は松下電工製の電設資材を取り扱っている電材店を覗いて見てください。バラ品なら900円くらい、青と白の斜めストライプの個別箱入りで1,200?1,400程度で購入できます。
 話を元に戻して、このラインフィルタはカバー(ケース)が3Pインレットのアース端子と接続されていますので、レギュレータ回路部のアースポイントとの接続方法について、最もハム音(ブーンという60サイクルもしくは50サイクルの音)やノイズが少なくなる方法を組上げた後に実機で試聴や測定を行いながら決める必要があります。
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(2)トランス。

 AC100V電源はACラインフィルタを通過した後、電源スイッチを経由してトランスの1次側に接続されます。電源スイッチはAC100VのON-OFF用として安全性マークが付けられたものをお選びください。また、電源ON-OFF時のプチッという音が出ないようにスパークキラーを入れておく必要があります。直流回路ではスイッチの接点に並列に入れますが、交流の場合はAC100Vの2線間に入れます。
20071220b_2  ACラインから侵入してくる高周波ノイズをカットするためには、トランス入力の方が有利ということもシリーズレギュレータを採用した理由のひとつです。トランスはいろんなタイプがありますが、有名ブランドのオーディオアンプ(プリアンプや、プリメインアンプのプリアンプ部、DACなど)でよく採用されているNuvotemの基板実装タイプのトロイダルトランスを採用することにしました。スペックや寸法はNuvotemのURL<http://www.nuvotem.com>をご参照ください。本電源ユニットで採用したのは70040Kというモデルで2次側が7V×2(各5VA)、1次側が115V×2の製品です。2次側で整流後、DCで8.5V程度必要ですので、容量や電圧値を考慮してこのタイプにしました。トランスの2次側には一般的に√2倍程度の電圧が出ますので、1次側115Vを100Vに接続して、ちょうどよいくらいです。容量についてはREX-Link2EXの受信機の消費電流が約80mAほどですので、逆にシリーズレギュレータの負荷が少なすぎて発振しないかと気になりますが、他の用途でも使用できるように最低でも600mA程度は取り出せるようにしておきます。

(3)平滑用ケミコン。
 トランスの2次側はそれぞれ7V(5VA)の巻線になっていますので、整流用ダイオードで両波整流します。整流後はコンデンサで平滑する必要があります。前項でも触れたようにトランスの2次側は記載の電圧の√2倍程度の電圧が出てきます。整流用ダイオードによる電圧降下(0.6V)もありますが、整流後10V近くの電圧が出てきます。平滑用の電解コンデンサの耐圧は大きなリップルなどにも耐えるように、3倍以上を選択することと電解コンデンサのカタログに記載されています。DAC出力などの信号用は別として、電源の平滑用はカタログの記載に従っておかないと、最悪の場合は爆発や液漏れを起こしたり、寿命を短くする原因となります。
 レギュレータの入力側には4,700uFという大容量のものを使用し、リップルが少なくなるようにします。2次側はあまり極端に大きいと、小容量負荷の場合はOFF時の放電に時間がかかったり、ON時の突入電流でレギュレータの保護回路が誤動作してしまうことがありますので、1000uFとします。
 コンデンサ選びですが、信号用同様、各社からいろんな製品が出されているので選択に困ってしまいます。最後にはヒアリングテストを行いながらいいと思うものを選ぶしかありません。
20071220c_2  実験用に購入したのはニチコンのKGシリーズ(オーディオ機器電源平滑用)、日本ケミコンのAJシリーズ(Audio用)です。日本ケミコンのAJシリーズはLotごとに実測データの試験成績書付で納入されます。ニチコンのKGシリーズは端子が金メッキの製品(今回使用した1,000uF)もあります。その他にも候補は一杯ありますが、比較試聴している時間がなく、今のところ結果をまとめて本Blogで報告できるような段階ではありません。いずれ、報告したいと考えていますのでご期待ください。各電解コンデンサのスペック等はメーカ(ニチコン日本ケミコン)のURLを参照してください。
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(4)整流用ダイオード、シリーズレギュレータなど。

  整流用のダイオードは30年くらい前からのベストセラー10D1、レギュレータも同じく30年くらい前からのベストセラー7805(5V/1A)です。どちらもジェネリック医薬品のようにセカンドソースが多数出ていますので入手しやすいものでOKと思いますが、レギュレータの場合は内部回路などの差により発振しやすかったり、パッケージにより熱特性が変わっていたりしますので注意したほうがよいと思います。整流は、ダイオードを4個使用するブリッジ回路よりも電圧降下が少ない両波整流回路を使用しました。レギュレータの2次側(5V定電圧出力側)から1次側(入力側)に接続されているダイオードは、電源OFF時、Link2EXの消費電流が少なく、かつ2次側の平滑用電解コンデンサの容量(1000uF)が大きいため、電圧がなかなか放電されて下がらず、1次側の方が先に放電されて電圧が低くなってしまった場合に、レギュレータを保護するためのバイパスです。普通はなくともよいのですが、負荷にくらべて余裕たっぷりの電源を使用する場合には必要です。

 その他に関しては、次回、2007年最後のBlogで説明いたします。

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