約1ヶ月、本Blogの更新ができずに申し訳ありませんでした。その間にいくつかコメントをいただいていますので、簡単ですが回答も掲載したいと思います。PC-Audio、「PCでもっといい音を」ということで始まった本Blogですが、1年以上続けて、やっと同じようなことを考えておられる方々に少しずつ広まってきたのではないかという手ごたえを感じています。また、当社の直販モールでREX-Link2EXやREX-WHP2をご購入いただいた方に、澤野工房のJazzCDを1枚プレゼントさせていただいておりますが、こちらもご好評をいただいております。
本Blogの基本方針として、いわゆる「オーディオ評論」のような意見は書かないというということを徹底しているつもりです。「音」というのは私たちの体感、記憶による部分が大きく、映像ならば並べて同時に見比べることができますが、音の場合はそうは行きません。あくまでも、その直前に聴いた音や場合によっては30年ほど前に初めて聴いたJBLとMachintosh275の音との比較だったりします。そのため、記事内容はできるだけ実験を重ねて、科学的根拠を見つけてからから掲載するように努めていますので、場合によっては時間がかかりすぎるようなこともありますがご容赦ください。
PC-Audioという分野は幅が広いのですが、私たちがテーマとしているのは「PCをCDトランスポート」として使用するということです。同時に「使いやすさ」ということをテーマとして、特別なドライバソフトウェアをインストールしなくとも使える、iTunesなどの一般のアプリケーションソフトウェアでそのまま使える、Wirelessで置き場所に関係なく、かつPCからのGNDノイズに関係なく使えるということをテーマにしています。また、基本的には非圧縮のリニアPCM(DSDも使いたいのですが)を使用しています。30年近くソフトウェアの世界にもいますので、ソフトウェア工学から考えた場合、圧縮技術には興味があります。でも、今のところ非圧縮にこだわっている理由は下記のようなものです。
わかりやすい例として、液晶TVとブラウン管TV、デジカメ写真と銀塩写真を見比べて見てください。私たちの目と脳は、景色を見た場合、遠くにあるものと近くにあるものをどのようにして認識していますか? 遠くにあるものは輪郭や境界がはっきりせず、色も無彩色に近くなっています。ブラウン管TVや銀塩写真などのアナログ画像はこれに近いので、私たちの目でみると遠近感や奥行が感じられます。これに対し、液晶TVやデジカメ写真の場合、遠くのものでも輪郭や境界がはっきりしていて色も鮮やかなため、何となく平板な画像に見えます。特に地デジTVなどのMPEG2方式は動かない背景から動いたものだけを抜き出して処理するという方式ですので、昔の映画の特撮のように絵の前で演技をしているようなものです。当然、自然な奥行感や色合いを出すために多くの人達が連日連夜、ソフトウェアの改良に取組んでいますが、まだまだ改良の余地はあると思います。音についても、映像ほどデータ量も多くなく、処理が複雑ではありませんが似たようなものだと思っていますので、現時点ではリニアPCMが入口で余計なことをしないということで「よい」と考えて採用しています。皆さん方はどうお考えでしょうか? ロスレスというのは、PCでのファイル圧縮・解凍ソフトウェアと同様、圧縮後、復元しても元のデジタルデータ(!)と同じということで、MP3などのように圧縮時にファイルサイズを小さくするために高音域を切り捨てていないということですが、ソフトウェアで操作を行っていることは事実です。最近はメモリやHDDが安くなったにもかかわらず、必要のない圧縮や復元のために高額のライセンス料を徴収されるというのはどうかと思います。また、アンプなどを自作することを趣味としている方々にとって、手が出せないというのもマニアとしては面白くありません。
PCをトランスポートとして使用するということと同様なアプローチとして、前々回(CESレポートの3回目/2008年1月31日)に紹介した、PS-AudioのMemory PlayerやLinn(機器そのものにCDドライブは内蔵していませんが、どこかでCDからリッピングしてネットワークサーバに入れなければなりませんので、個人ユースで使用するにはPS-Audioの方式の方がよいと思います。それにネットワーク経由で同時にいくつかの端末からアクセスできたりすると著作権の問題も浮上します)のネットワークプレーヤーなどがあります。私たちが使用しているPC-Audioの方式ではCD音源以外にNAXOSやNapstarなどのストリーミングにも対応していますので、改良を重ねて、これらの専用機に負けない音が出せればよいと思っています。
PS-AudioのPlayerと私たちの方式の大きな違いは、リニアPCMに戻したデータをDACに転送する経路が違うということになります。PS-Audioの場合は専用のハードウェア・ソフトウェアで行っていますが、PC-Audioの場合はUSBを経由しています。
USBのソフトウェアはUSBポートのハードウェアに近い部分(ドライバと呼ばれるソフトウェア)の上に何段かのクラスドライバと呼ばれるソフトウェアが重なっています。そしてこの部分は音が途切れたりしないよう、アイソクロナス転送と呼ばれる時間優先の転送方式が使用されています。しかし、この部分はWindows VistaやMacOS X 10.5になって(10.4の後半から)、動作モードがKernelモード(特権モード)からUserモードに移されてしまい、以前よりも実行の優先度が低くなってしまいました。そのあおりでMacOS X 10.4.10 updater V 1.0がインストールされているとバチバチ音が混じってしまうということになりましたが、すぐに修正用パッチ(Audio update 2007-001)が配布され事なきを得ました。
iTunesやMediaPlayerなどのアプリケーション ソフトウェアとUSB Audioドライバの間にはさらにAudio Mixerなどのソフトウェアが介在します。この部分が一番PC-Audioの音質に影響を与えていると思われている部分で、トーンコントロールやサラウンド処理、更にはサンプリングレートなどの変換も行います。当然、MacOSとWindowsでは全く違う(USBドライバは処理としてはほとんど同じですが)ソフトウェアが使用されています。
REX-Linkを使用されている方々はほとんど、これらの機能をOFFか「使用しない」に設定されていると思いますが、特別なドライバ ソフトウェア