本日から何回かに分けて、製品や技術の紹介だけでなく「ものつくりの現場」からREX-Linkの誕生秘話について紹介してゆきたいと思います。
あまりオーディオとは関係がなさそうだった当社が「PC-Audio」にこだわる理由、オーディオに関する考え方や姿勢などについて述べさせていただくことにします。
今回はその1回目として、PCカードやSCSI, IEEE1394, USBなどのPC用インターフェイス、リムーバブルHDDケースやKVMのメーカである当社が、なぜPC-Audioにこだわり始めたのかということから少し説明したいと思います。
実は当社は「PC-Audio」とは全く無縁だったという訳ではありません。
1993年頃から、当時はまだSound機能がなかったノートPC用に「Sound PCカード」(右図)、「SCSI?SoundコンボPCカード」などを開発・販売していました。
ドライバやユーティリティなどのソフトウェアは当然MS-DOS用で、その後Windows3.1用なども作りました。
その当時、米SiliconValleyから湾を挟んで反対側にあるFremontにあったESS TechnologyというSound LSIの会社に押しかけて日本語や日本のPCに合わせたローカライズを行ったものです。
この頃はまだFM音源が一般的で、今のような音楽を聴けるような音質とは程遠いものでした。
その後、音声や音楽の圧縮・復元技術や音楽のデジタル編集の普及、PCのAV機能強化、Wireless技術の進歩といった様々な状況により「PC-Audio」という分野が産み出され、「PCで音楽を聴く」ということが現実のものとなってきました。
当社はそのころ、PCカードやノートPC、PDA、デジカメ用メディアなど携帯性に優れたものにこだわっていましたので、「ノートPCで自由なスタイルで音楽を聴く」ということが当初からのコンセプトになりました。
そのような構想から2年以上の試行錯誤の末、2.4GHz帯のWirelessを利用して音楽をPC(USB)からオーディオアンプに飛ばして「いい音を聴く」という『REX-Link1』(右図)を2003年11月に発売しました。
翌2004年11月には同じWireless方式を使用したヘッドホンやiPod用の送信機を、2005年にはVW(フォルクスワーゲン)やTOYOTA車の車内でiPodをWirelessでカーナビ・カーオーディオに接続できるインターフェイスを発売してきました。
残念ながら、これらはまだまだ世間に広く受け入れられているとは言い難く「Project-X(ペケ)状態」ですが、毎年のようにWirelessでPCから音楽を飛ばすという競合製品や類似製品が登場している状況を見れば、Wireless-AudioやPC-Audioが世間に受け入れられてきつつあると実感しています。
また、Internetによる音楽配信の普及によりPC経由で音楽を聴くことや、iPodなど携帯オーディオ機器の普及によりPCに音楽を貯め込むということが一般的になってきたため、PCでも音楽を「いい音で聴きたい」と思う人々が年々増えているようです。
そこで当社ではREX-Link1の発売以来のさらなる試行錯誤を踏まえて、「PC-Audioでもっといい音を」をテーマにこのたびREX-Link2シリーズを発売しました。
REX-Link2シリーズの発売を機会に、REX-Linkシリーズのことをもっと知っていただくために、「REX-Linkの産みの親の思い」や「PC-Audioについてのインターフェイスを提供する側からの意見」などを公開し、PC-Audioの発展のために皆さんと本ブログで語り合いたいと考えています。