台湾や中国でワイヤレス ヘッドホンのOEMを熱心に売り込むメーカもありましたが、私達の「こだわり」を満たす製品はなく、ワイヤレス部やDAC+アンプ部を自分達でつくることにしました。
私達が採用しなかった製品を採用して販売している音響メーカもありますが、内蔵電池が液漏れを起こすので電池を回収、交換したり、2.4GHzの通信が送信機から受信機への一方通行のみでチャンネルが固定のためWi-Fiネットワークと干渉してヘッドホンに音楽信号が届かなくなってしまっても送信機は全く「我、関せず」という状態なので、回収してファームウェアを変更したりといろいろとトラブルを抱えているようです。
このあたりは、黄色いケーブルの802.3イーサネットの頃から20年以上、ネットワークにかかわっている私達のほうが経験豊かな分だけアドバンテージがあります。また、電池にも組込マイコンボードのバックアップなどでずいぶん失敗を繰り返してきましたので「この電池は怪しい、使うのはやめよう」という第六感が働くようになりました。ちなみに、REX-LinkシリーズではSONY福島製のLi-ion電池を採用し、充電回路についてもいろんな条件を電池メーカの技術者から教えてもらいながら設計された安定した回路や素子を採用しています。SONY福島製のLi-ion電池は昨年、ノートPCの発火事件や電池回収で大騒ぎになりましたが、REX-Linkシリーズで使用している電池とは構造も形状も違いますので、ご安心ください。
ヘッドホンのことをいろいろ調べているうちに、オーディオ用ヘッドホンをワイヤレス化するには、ハウジング部の内部に基板や電池などを詰め込まなければならないので、内部の容積や音の反響や共鳴などの条件が変わってしまうので、設計しなおさなければならないこと、左右の重量バランスをとるための調整や、左右の間を何本もケーブルを渡さなければならないのでヘッドバンド部も設計しなおす必要があることなどが判ってきました。
また、オープンエアタイプのヘッドホンはハウジング部に基板や電池を内蔵させることはできないので密閉型を採用するしかありません。
どうやら、ヘッドホンの世界も奥深いようで、私達が考えていたように、ハウジング部か頭のてっぺん(ヘッドバンド)の部分に基板や電池をいれるだけではすまないようで、「いい音がするもの」をつくろうとすると簡単には行かないということがわかりました。そこで、まず「音質」の基準を決めようということで、中高級オーディオ ヘッドホンを買い集めて試聴をくりかえしたり、海外の有名ブランドにOEM供給している中国メーカに横からアタックしたりといろいろ試行錯誤した結果、いろいろとワイヤレス用に設計変更、改造をしてもらわなければならないし、コミュニケーションのこともあるので、国内のメーカにお願いしようということになりました。
いろいろとあちこちツテを頼って、お願いした結果、高級ヘッドホンで有名な国内のメーカが引き受けてくれることになり、やっと実現まで一歩前進しました。
ヘッドホンユニットのメーカがやっと決まったところで、次回はちょっと横道にそれてヘッドホンに関係があるバイノーラルのお話をいたします。