いろんな困難を乗り越えてやっと、REX-WHP1が発売されたのは2004年12月です。その前の11月中旬に発表会を開催し、マスコミ関係者や販売店の方々に現物に手を触れて、音を聴いていただきました。
ヘッドホンユニットに国産の高級品と同じものを採用しましたので、当然ですが音質や装着感については好評をいただきました。重さに関しても有線タイプとほぼ同じ重さにまとめましたので、特に「重い」というご意見はいただきませんでした。しかし、iPodと組み合わせて使用する外出時の携帯用ヘッドホンとしては、皆さん一様に「おっ、おっ、大きい」と驚かれた様子でした。確かにREX-WHP1を装着したまま、ジョギングに出かけたり、フィットネスセンターで運動するというのは無理があると思います。現実的には、静かにソファに座って読書をしながら音楽を聴くというのが一般的な使用法でしょうか。
REX-WHP1にはiPod接続用のREX-WHP1Pの他、PCのUSBポートに送信機を差込み、PC上でiTunesやMedia Playerを動作させてREX-WHP1で音楽を聴くというモデルREX-WHP1Uもあり(REX-WHP1PのiPod用送信機にもUSBポートがあり、PCのUSBポートとケーブルで接続し、同様に楽しむことができます)、こちらの方はノートPCやデスクトップPCで音楽を聴きながらPCで何か作業をしたり、PCから離れてうっとうしいケーブルに邪魔されずにソファに座って読書や編物などをすることができます。
あるいは、DVD再生ソフトウェアにDolby Headphoneのエンコーダがオプションで組込まれていれば、DVD再生時、5.1ch.の音声をREX-WHP1のいい音で楽しむことができます。ただし、無線部が2.4GHzとは言え、RF部がBluetoothと同じ物理層を使用していますので、PCのUSBポートから出たリニアPCM2.1ch.の音声は送信機、受信機内部のDSP(Digital Signal Processing)により、SBCコーデックと呼ばれる方式で圧縮、復元されて私達の耳に伝えられるため、PCのアナログ出力ジャック(スピーカ端子)に有線ヘッドホンを接続した場合と比べて、少しだけ遅れます。DVD再生ソフトウェアのDolby HeadphoneをONにすると、豊かな音がひろがってなかなかいい感じですが、このSBCコーデックによる約30mS程度の音の遅れは、残響の多い広い映画館で舞台のスクリーンの後ろのスピーカからの音声を聞いていると思えば気になりませんが、ゲームなどをされる方には気になったようです。
iPodの音楽をワイヤレスで飛ばしてオーディオセットで再生するREX-Link1PやヘッドホンREX-WHP1Pは、発売後、"Audio Basic" 2005年春号(Vol.34)(共同通信社)というオーディオ雑誌でも紹介されました。「なかなかいい音がする」ということで好評をいただきました。この他の雑誌やいろんなWebでも紹介いただいたり、量販店の店頭でも展示、視聴いただき、REX-WHP1の「いい音」を体験していただきましたが、価格(店頭で¥39,800程度)や外出時の携帯用としては大きすぎることなどから実際の売行きは今ひとつでした。
iPodなどの携帯オーディオ機器の所有者を対象とした調査報告がwebでも公開されていましたが、ヘッドホン(イヤホン)を買うとしたら、音質や装着感を優先して選び、予算は¥3,000くらいという結果が報告されていました。私達としては、iPod用のヘッドホン(カナルタイプのイヤホン)で¥50,000や¥30,000クラスの製品でも売れていることから考えて、REX-WHP1の音質やヘッドホンとしての高級感から考えて¥39,800は決して高くはないと思っていたのですが、いかんせんiPodなどの携帯用としては大きすぎました。室内専用となると今度はiPod用のドックスピーカーやREX-Link1Pとも競合します。PC用のUSB接続のヘッドホンとしては、室内で作業(キッチンで調理をしながらというユーザもいらっしゃいます)などをしながら音楽を楽しんだり、大画面PCでDVDを再生したりという使い方で好評でした。
そして私達はREX-WHP1の発売後、すぐにREX-WHP2の開発にとりかかりました。