Raspberry Pi Audio Cookbook #1 – 2


前回は本製品についてのご紹介と、この基板を使用に際しての準備についてお話をさせていただきました。
今回はいよいよ、基板についての説明に入ります。

Compute Module 3の実装

Compute Module 3本体は (写真-1) のように約45度ほど斜めにソケットに差し込み、キャリアボードと並行になるように上から押します。力をいれなくとも「カチッ」という音がするはずです。

写真-1

斜め45度ほどの角度からモジュールをセット(左)
真下に押し込む事でセットできる(右)

エッジ(金メッキの部分)が1mm以上もDDRコネクタからはみ出している場合は正しく装着できていませんので金属レバーを左右に広げ(CM3が斜めに浮き上がります)てCM3を取り外し、再度はめ直してください。(写真-2)

写真-2
正しくセットされるとエッジはあまり見えない(左)
モジュールが正しくセットされていないとエッジが見えてしまう(右)

ショートプラグの設定

RAL-KCM3MB1基板上にはJ6,J8,J15の三ヵ所にジャンパポストがあります。これらはそれぞれ下記のようにショートプラグで設定をします。

  • J15 LAN9514動作設定用、LAN MACアドレス設定用ポスト通常使用時は奇数列と偶数列(1と2、3と4….11と12など)をすべてショートプラグでショートしておき設定データをEEPROMから読み出せるようにしておいて下さい。 工場出荷時の設定データにはMACアドレスの上位3バイトのベンダコードとして00C0D0(RATOC Systems, Inc,のベンダコード)、下位3バイトには製品ごとに固有の番号が割り当てられています。その他、EEPROM内にはUSB LANコントローラやUSB HUBの動作を設定するUSB Descriptorが格納されています。なお、Raspberry Pi 3では本EEPROMは実装されていません。Raspbian OSがMACアドレスの上位3バイトにRaspberry Pi財団に割り当てられた値、下位3バイトは重複による衝突を避けるためCPUのシリアル番号の下位3バイトを埋め込んでいます。
    写真-J15
    1-2、3-4……11-12 となるようにショートプラグをセットします(写真右)
  • J6 CM3上の4GB eMMCにOSを書き込む場合に使用します
    J6 CM3 FW FFC-3AMEP1B
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VBUS0_B CN2 VBUS CN2(microUSB)のVBUS入力検出用
    2 UBEN USB Boot Enable CM3上のeMMCをenableにし、
    microSDカードソケットを無効にする。
    3 GND GND

    CM3上のeMMCフラッシュメモリへの書き込みをenableにするためには[1 – 2]間にショートプラグを差し込みます。enableにした後CN2のmicroUSBポートとWindowsPCのUSBポートを接続し電源をONにして下さい。実際の書き込み手順は後で説明します。

    [2 – 3]間にショートプラグを差し込むとCM3基板上のeMMCへのOS書きこみが
    disableとなります。通常使用時はこの位置にしておき、microUSBポートには何も接続しない状態で使用して下さい。CM3 Liteを使用する場合は、この位置にショートプラグを差し込んでおき、microSDカードソケットをenableにしておく必要があります。

    写真- J6
    1番と2番のポストにセットするとCM3上のeMMCに書き込みを許可
    書き込みを禁止させる場合は、2番と3番のポストにセットさせます(写真右)
  • J8 LANポートのActive_LEDおよびLink_LEDを点灯、消灯を設定しますLEDの点滅によるノイズを減少させるために消灯を選択することができます。
    J8 LAN_Link,Act LED enable FFC-3AMEP1B
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC3.3 Pull up用電源出力
    2 LED ENB LAN Link/Ack LED アノード 1 – 2 間にショートプラグ設定でLED点灯可。
    3 N.C. 未接続

     

    写真-2
    LED点灯をさせる場合は、1番と2番のポストにプラグをセットしたます(写真右)

各コネクタについて


RAL-CM3MB1ボード図

1 J2
(40P ヘッダ)
Raspberry pi 2 B+, 3互換の40Pヘッダ
2 J3(PH8P) I2S信号出力コネクタ
3 J4(PH4P) I2C信号入出力コネクタ
4 J5(PH9P) SPI信号入出力コネクタ
5 J9 (XH4P) DC+5V供給用コネクタ
6 J10(XP14P) 電源回路切替設定用コネクタ
7 J11(PH3P) ACT_LED 信号取出用コネクタ
8 J12(PH3P) Power_LED 信号取出用コネクタ
9 J13(PH3P) Shutdown_LED 信号出力コネクタ
10 J14(PH4P) Start/Shutdown Pushボタンスイッチ延長用コネクタ
  • J2(40P ヘッダ) Raspberry pi 2 B+, 3互換の 40Pヘッダ
    信号配置は下図を参照して下さい。Raspberry Pi 2 B+,3と配置やGPIO番号、信号レベルは互換です。ただし、DC+5V,DC+3.3Vは出力専用です。これらの端子には外部から電力を供給しないで下さい。KCM3MB1側には逆流防止ダイオードは入れていませんので電源回路が破損する恐れがあります。

    I2S J3 コネクタ 共通部分
    I2C J4 コネクタ 共通部分
    SPI J5 コネクタ 共通部分
  • J3(PH8P) I2S信号出力コネクタ
    GPIOをI2S信号に対応可能なようにVolumio2などRaspberry Piの代表的なMPDにあわせてアサインしています。

    J3 I2S入出力 B8B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC3.3 外部アイソレータ用電源出力 3.3V 電源出力
    2 GND
    3 I2S MCLK 外部Master Clock入力 GPIO20 40P(J2) 38番と共通
    4 GND
    5 I2S BCK BCLK出力もしくは外部BCLK入力 GPIO18 40P(J2) 12番と共通
    6 I2S LRCK LRCLK出力もしくは外部LRCLK入力 GPIO19 40P(J2) 35番と共通
    7 I2S DATA LPCM Data 出力 GPIO21 40P(J2) 40番と共通
    8 GND S.GND

     

  • J4(PH4P) I2C信号入出力コネクタ
    Raspbian(OS)の標準設定に合わせてI2Cの信号をアサインしています。これらの信号を使用するためにはOSの起動時にI2CがenableとなるようRaspi-Configなどで設定をしておく必要があります。

    J4 I2C入出力 B4B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC3.3 I2C電源 3.3V電源出力
    2 I2C_SDA1 I2C Data 入出力 GPIO2  40P(J2) 3番と共通。
    1.8kで3.3VにPullup済
    3 I2C_SCL1 I2C Clock 出力 GPIO3  40P(J2) 5番と共通。
    1.8kで3.3VにPullup済
    4 GND S.GND

     

  • J5(PH9P) SPI信号入出力コネクタ
    Raspbian(OS)の標準設定に合わせてSPIの信号をアサインしています。これらの信号を使用するためにはOSの起動時にSPIがenableとなるようRaspi-Configなどで設定をしておく必要があります。

    J5 I2C入出力 B4B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC3.3 SPI電源 3.3V電源出力
    2 SPI_SCLK SPI Clock 出力 GPIO11 J2(40P) 23番と共通
    3 SPI_MOSI SPI Data 出力 GPIO10 J2(40P) 19番と共通
    4 SPI_MISO SPI Data 入力 GPIO9 J2(40P) 21番と共通
    5 SPI_CE0_N SPI Select 0出力 GPIO8 J2(40P) 24番と共通
    6 SPI_CE1_N SPI Select 1出力 GPIO7 J2(40P) 26番と共通
    7 N.C. 未接続
    8 N.C. 未接続
    9 GND GND

     

  • J9 (XH4P) DC+5V供給用コネクタ
    RAL-KCM3MB1へ電源(DC+5V)を供給するためのコネクタです。XHコネクタを使用していますので端子1本あたり最大3Aの電流を流すことが可能です。ただし、低電圧(DC+5V)大電流(最大3A)の場合はリード線の抵抗分も無視できなくなります。リード線による電圧降下が大きい場合は1,2と3,4という組み合わせて並列にして抵抗分を減らすことが可能です。電源スイッチがOFFの場合でも、Start/Shutdownボタン回路の待機電流が流れていますので短絡事故などにご注意下さい。

    J9 DC+5V電源入力 B4B-XH-A
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 DC+5V 電源入力 外部電源入力 DC+5V+/-0.25V
    2 DC+5V 電源入力 外部電源入力 DC+5V+/-0.25V
    3 P.GND 電源 GND /Return 外部電源 GND Return
    4 P.GND 電源 GND /Return 外部電源 GND Return

    注) RAL-KCM3MB1には本コネクタに対応したXHR-4ハウジング、赤リード線(1番に接続済、長さ20cm)、黒リード線(4番に接続済、長さ20cm)が付属しています。

     

  • J10(XP14P) 電源回路切換設定用コネクタ
    J10は電源のモードを設定するレジスタです。標準添付のXHR-14ハウジングでは2番と7番(赤)、9番と14番(白)、10番と12番(黄)が電線で短絡されています。本コネクタを利用することにより、基板外の3.3Vレギュレータ、1.8Vレギュレータを利用することや、Start/Shutdownボタンスイッチを使用しないというモードにも設定することが可能です。

    J10 電源モード設定 B14B-XH-A
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    2 VCC5 電源入力 DC5V電源入力。4番と共通。
    U13(FET Switch)の出力に接続。
    3 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    4 VCC5 電源入力 DC5V電源入力。2番と共通。
    U13(FET Switch)の出力に接続。
    5 VCC5_IN 電源入力 CM3_V_Batt,U12(3.3Vレギュレータ),
    U14(1.8Vレギュレータ)に5Vを供給。
    6 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    7 VCC5_IN 電源入力 CM3_V_Batt,U12(3.3Vレギュレータ),
    U14(1.8Vレギュレータ)に5Vを供給。
    8 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    9 VCC3.3_OUT U12 出力 KCM3MB1上の3.3Vレギュレータの出力。
    10 VCC1.8_OUT U14 出力 KCM3MB1上の1.8Vレギュレータの出力。
    11 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    12 VCC1.8_IN CM3 1.8V VCC KCM3MB1 DC1.8V電源入力。
    13 P.GND 電源 GND /Return 電源 GND Return
    14 VCC3.3_IN CM3/LAN9514 VCC KCM3MB1 DC3.3V電源入力。

    注)RAL-KCM3MB1には標準設定用のXHR-14ハウジングが付属しています。標準設定では

    1. 2番と7番を接続。基板上の3.3V、1.8Vレギュレータに5Vを供給。
    2. 9番と14番を接続。基板上の3.3Vレギュレータを使用。
    3. 10番と12番を接続。基板上の1.8Vレギュレータを使用。

    と設定されています。

  • J11(PH3P) ACT_LED 信号取出用コネクタ
    本コネクタはACT_LED駆動信号を外部に引き出すためのコネクタです。1番に外部LEDのアノード、3番にカソードを接続することによりフロントパネルなどに取り付けたLEDを点灯させることができます。KCM3MB1上のLEDを使用する場合には付属のショートプラグを1番、2番間に挿入しておいて下さい。外部のLEDに電流制限のための抵抗は追加する必要はありません。一番より15mAが供給されます。なお、ACT_LEDをActive(点灯)させるためには/boot/config.txtに下記の一行を追加し使用しているGPIOの番号を設定しておく必要があります。
    dtoverlay=pi3-act-led,gpio=16
    注)KCM3MB1ではGPIO16でLED1をドライブします。

    J11 LED1バイパス B3B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC5 LED用電源 U13(FET Switch)出力より供給。
    2 LED1 LED1アノード KCM3MB1上のLED1(ACT)アノード。
    1-2ショートで点灯可。
    3 EX_LED1 外部 LED1 カソード 外部LEDのカソードに接続。
    アノードには1番を接続。

     

  • J12(PH3P) Power_LED 信号取出用コネクタ
    本コネクタはPower_LED駆動信号を外部に引き出すためのコネクタです。1番に外部LEDのアノード、3番にカソードを接続することによりフロントパネルなどに取り付けたLEDを点灯させることができます。KCM3MB1上のLEDを使用する場合には付属のショートプラグを1番、2番間に挿入しておいて下さい。外部のLEDに電流制限のための抵抗は追加する必要はありません。一番より15mAが供給されます。

    J12 Power LED バイパス B3B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC5 LED用電源 U13(FET Switch)出力より供給。
    2 LED2 LED2 アノード KCM3MB1上のLED2(ACT)アノード。
    1-2ショートで点灯可。
    3 EX_LED2 外部LED2 カソード 外部LEDのカソードに接続。
    アノードには1番を接続。

     

  • J13(PH3P) Shutdown_LED 信号出力コネクタ
    本コネクタはShutdown_LED駆動信号を外部に引き出すためのコネクタです。1番に外部LEDのアノード、3番にカソードを接続することによりフロントパネルなどに取り付けたLEDを点灯させることができます。KCM3MB1上のLEDを使用する場合には付属のショートプラグを1番、2番間に挿入しておいて下さい。外部のLEDに電流制限のための抵抗は追加する必要はありません。一番より15mAが供給されます。

    J13 Shutdown LED バイパス B3B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 VCC5 LED用電源 U13(FET Switch)出力より供給。
    2 LED3 LED3 アノード KCM3MB1上のLED3(ACT)アノード。
    1-2ショートで点灯可。
    3 EX_LED3 外部LED3 カソード 外部LEDのカソードに接続。
    アノードには1番を接続。

     

  • J14(PH4P) Start/Shutdown Pushボタンスイッチ延長用コネクタ
    本コネクタはStart/Shutdown ボタン信号を延長し、パネルなどに取り付けPushボタンスイッチで、Start/Shutdownが実行できるようにするためのものです。増設する押しボタンスイッチは2回路2接点のPush-ON(Make、A接点)タイプの製品をお使い下さい。MAKE接点と本コネクタの1,2および3,4の各回路に接続することによりKCM3MB1上のPushボタンスイッチとWired-ORされます。

    J14 Start/Shutdown ボタン バイパス B4B-PH-K-S
    端子番号 信号名 内容 備考
    1 PB_N Pushボタン ’L’アクティブ U15(LTC2951CTS8)のPB_Nに接続。
    2 GND GND ボタンが押されたら 1-2間を短絡する。
    A接点モーメンタリ。
    3 VCC3.3 VCC 3.3V ボタンが押されたら 3-4間を短絡する。
    A接点モーメンタリ。
    4 P_DWN Shutdown ボタン検出通知信号 Shutdownボタンが押されたことを、
    GPIO6を通してMPUに通知する。

     

RAL-KCM3MB1のH/Wの紹介、各機能の紹介をいたしました。
次回は電源を用意して実際に動かすまでということでお話を進めてゆきたいと考えております。

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