Raspberry Pi Audio Cookbook #1 – 1


Raspberry Pi Compute Module 3 専用
キャリアボード登場

Raspberry Piを使ってNet Audio機器の自作に挑戦したい。
そんな自作オーディオを趣味とされる皆さんに楽しんで頂くために、当社ではRAL-KCM3MB1というRaspberry Pi Compute Module 3専用のキャリアボード(マザーボード)を発売します。 Raspberry Piシリーズは名刺サイズ(PCカードサイズ)のRaspberry Pi 基本タイプ、さらに小さい Raspberry Pi Zeroが有名ですが、機器組込用としてCompute ModuleというDDR2 SODIM メモリソケット対応のModuleも発売されています。  特にCompute Module 3(CM3)はRaspberry Pi 3と同じ4コアのCPUを搭載した最新、高速版です。

私達はRaspberry Piが発売された当初からいろいろと実験してきましたが、実用的なものに組み込んで使用する上でいろいろと不満がありました。 そのため、CM3に対応し、必要な周辺回路を実装したキャリアボードを開発し、Raspberry Piの応用分野をひろげるだけでなく、自作派オーディオマニアの皆さんにも提供することにいたしました。

USB Hi-Speed、HDMI のコンプライアンステスト合格基準を満足しているだけでなく、静電破壊対策、不要輻射対策、インピーダンスコントロールを行った業務用マザーボード仕様です。 また、自作派のみなさんがオーディオ機器らしいケースに組み込みやすいようコネクタの配置や電源スイッチ(Start/Shutdownスイッチ)なども工夫しました。さらにRaspberry Pi 2、3互換の40Pヘッダも搭載しましたのでRaspberry Pi 2や3で実験していた電子工作をそのまま移植することができます。
本Cookbookでは皆さんがご自分の手でRaspberry PiでNet Audio機器を作り、改良しながら「いい音で音楽を楽しんでいただけるよう」に必要な情報を提供してゆきます。 Net上にはRaspberry pi Audioに関する情報が氾濫していますので、それらも参考にされながら「自作オーディオ」をお楽しみ下さい。
ただし、OSのVersionの違いなどでNet上で得た情報そのままでは動作しないということもありますのでご注意下さい。

本CookbookでもOSの更新などには逐次対応しながら情報を提供してゆく予定です。


用意するもの

お料理本と同様に本Cookbookも材料の説明からはじめてゆきたいと思います。

  1. RAL-KCM3MB1 CM3専用キャリアボード
    …. これがないと始まりません。
  2. Raspberry pi Compute Module 3 Lite
    …. 4GBのe-MMCメモリなしのタイプ。
    4GBのe-MMCメモリ実装済のCompute Module 3を使用される場合はKCM3MB1上のmicroSDカードスロットは使用できません(CM3上で無効となっています)。CM3へのプログラムの書き込みは専用のmicroUSBコネクタを使用します。
  3. DC +5V電源 ….出力3A以上、DC+5V+/-0.25Vのレギュレータを用意して下さい。
  4. 有線LAN環境
    …. RAL-KCM3MB1を接続できるRouterやHUBの空きポートが一つ必要です。当然ケーブルも必要です。
  5. 8GB以上のmicroSDカード
    …. HC IタイプでOKです。Volumio2やMoOde Player, Rune Audioなどはそれぞれ専用のimageファイルで提供されていますのでできれば2枚以上の複数。中国の携帯メーカ向のBulk品(東芝またはSanDiskブランド)の特価品で問題なく使用できます。Raspbian Jessie Lite、Volumio2だけなら4GBのmicroSDカードでもOKですが、テスト用の楽曲データを入れたり、Raspbian Jessie PIXELをinstallする場合は4GBを超えますので8GBを購入しておいた方が得策です。インストール方法などは後で説明します。
  6. WindowsPC(Windows10)、microSD用Card Reader/Writer
    …. 古いモデル、安いモノはHC Iに対応していないことがありますので注意して下さい。
    同一Network内で‘Volumio’もしくは’Volumio.local’という名前でVolumioをインストールしたRaspberry Piに接続するためにはWindowsPC側にiTunesをインストールしておくと便利です。iTunesをインストールしておくとIPアドレスを直接入力しなくとも名前で接続することができます。これはAppleが開発したBonjourというゼロコンフィギュレイション技術がiTunesをインストールすることにより一緒にインストールされるためです。Volumio2をインストールしたRaspberry PiをWiFiルータに有線LANで接続しておけば、WindowsPCのiTunes、iPod、iPad、iPhoneなどからAirPlayの出力先としてVolumioが登録されます。
  7. 音源用USBストレージ、もしくはNAS
    …. 動作確認であればUSBフラッシュメモリが簡単です。Windows PC で音楽ファイルをCopyしておけば使用できます。 Volumio2ではDefaultでsystem用のmicroSDカードの未使用領域を拡張しinternal starageというフォルダが用意されています。WindowsPCからはTeraTermなどを使用してSSH、Samba経由で楽曲ファイル(WAVファイルなど)をCopyすることができます。詳しくは後ほど説明します。
  8. USB-DAC、ヘッドホン、アンプ+スピーカ
    RAL-KCM3MB1上にはPWM出力用の3.5ミニJackは実装していませんので音楽はUSB-DACもしくはHDMI-TVから出力することになります。
    Raspberry piのOSにはUSB Audio Class 1, 2の両方に対応したドライバが組み込まれていますので新たにドライバをインストールする必要はありません。USB-DACはBus_Powerタイプ、Self-Powerタイプのどちらでも使用可能ですが、Bus_Powerタイプの場合はUSB 2.0規格に準拠した製品(突入電流を含め500mA以下)を使用して下さい。
    ただし、起動時間が長い製品はBus_Power供給開始後RaspbianのDevice Checkに間に合わず応答できない場合があります。そのような場合にはRestartかRebootを行うか、Self_Powerで使用する必要があります。
    Raspberry PiにはUSB以外にI2Sを使用して音楽を出力することもできますがその方法については後日紹介します。
  9. 筐体
    ご自分でお好みのケースをご用意下さい。 市販のタカチ製のケースに対応した穴あけ加工図を後日upしますので参考にして下さい。加工図面をタカチに送付して加工を依頼することができます。ただし、タカチのケースの場合、シャーシアース(フレームグラウンド)の取り方に注意して下さい。アルマイト処理は電気的には導通していませんのでEMI対策、ハムノイズ対策には組立て時にネジにキクワッシャをはめて導通させ電位差をなくすことが必要です。
  10. データシートなどの参考資料
    Raspberry Pi Compute Module 3のデータシートなどの資料は下記のリンクから入手することができます。
    Raspberry Piの資料はこちら ⇒(外部リンク)
    上記のページ[DOCUMENTATION>HARDWARE>COMPUTEMODULE] にある、各項目を選択(クリック)し、必要な情報を入手もしくは閲覧しておいて下さい。各項目は以下の箇所。
    – Datasheet ・・・ CM3,CM3 liteのデータシートです
    – Schematics ・・・ CM3、CMIO Rev 3.0の回路図を入手できます。
    – Flashing the Compute Module eMMC ・・・ CM3のon-board eMMC Flashに書き込むための方法やWindows用Driverなどが入手できます。CM3 Liteを使用する場合は不要です。
    – Compute Module attaching and enabling peripherals guide ・・・ bootに必要なdata file、設定などの情報が記載されています。最初は特に目を通さなくとも問題はありません。

RAL-KCM3MB1の回路図、基板寸法図、ケースに入れる際に必要なコネクタ配置図は、下記からdownloadすることができます。ただし、無断引用はお断りいたします。
http://www.ratocaudiolab.com/ral/raspiaudio/cm3mb1/


次回からは、いよいよRaspberry Pi Compute Module 3の実装や、ショートプラグ、コネクタの説明をおこないたいと思います。

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