#2 その4 REX-Link2EXのデジタル出力について。

9月13日の本Blogに質問コメントをumi_nekoさんからいただきました。同軸デジタル出力が用意されていないということに対するご意見でしたので、DACの出力段の電解コンデンサの実験のことをお話する前に、REX-Link2EXのデジタル出力について少し触れておきたいと思います。
 ご存知のようにオーディオ信号の機器間のデジタルインターフェイスとして民生用の伝送規格としてはS/PDIF(SはSONYの、PはPhillipsのイニシャルで両社が決めました)が一般的に使用されています。物理的な媒体としては、TOSlink(東芝)をベースにしたプラスチックファイバーを使用するタイプ(光)と、同軸ケーブルを使用するタイプ(RCAジャック)があります。CDプレーヤのリアパネルにはデジタル出力として、角型の光コネクタと同軸ケーブル用のRCAジャックが並んでいるのを思い出してください。

では、なぜREX-Link2EXには同軸ケーブル用のデジタル出力を用意しなかったのか、その理由は

  1. 同軸タイプはケーブルからの不要輻射が大きく、きちんと対策をしないとRF部や他のオーディオ機器にノイズをばら撒いてしまう。また、光ファイバに比べて外来ノイズにも弱く、パルストランスなどで アイソレーションをきちんと行わないとGNDが共通になってしまい特にノイズに弱くなる
  2. Wireless部の帯域幅の制限により、16bit/44.1kHzのリニアPCM信号のみを伝送し、Dolby圧縮データなどの BitStreamやDVDオーディオの96kHzサンプリングのデータを伝送するわけではないので帯域幅の広い同軸出力は必要がない
  3. 先にも書きましたが、REX-Link2EXを使用していただきたいユーザの環境として、プリメインアンプのAUXもしくはLINE入力(TUNER入力)に接続して聴いていただくことを想定して設計しました。一般的なプリメインアンプにはデジタル入力がない。あってもMD用の光のみが多い。

というのが主な理由です。

光によるデジタル出力の伝送がオーディオ機器で採用されるようになったのは、元々EMI(不要輻射)対策ノイズ対策(出す方も、影響される方も)が理由だと思います。また、REX-Linkシリーズを販売するためには家庭用電子機器の基準(日本ではVCCI ClassA)に合格させなければなりませんので、上記2と3の理由とも合わせてREX-Linkシリーズでは、今のところ同軸デジタル出力は採用せずに、アナログオーディオでピュアオーディオを追求されている方々のために、DACまわりを充実させることを目標としています。

それともうひとつ、以前から同軸デジタル出力について疑問に思っていたこともあります。
私達は25年前からLAN(昔はEtherNetと呼ばれていました)の開発を行ってきました。最近のLANケーブルは電話線を太くしたようなツイストペアケーブルとモジュラープラグ/ジャックが使用されていますが、25年前は直径が15mmから20mmくらいの太くて頑丈な黄色いケーブルが使用されていました。その後、10BASE-2という規格の3C2Vくらいの太さの50Ωの同軸ケーブルが使用されるようになりました。しかし、これらの同軸ケーブルはインピーダンスがうまく整合していなかったり、間違えてTV放送用の75Ωの同軸ケーブルやターミネータが同一経路内に混じってしまうと通信できなくなってしまいました。ところが、デジタルオーディオ用の同軸出力を見るとRCAジャックやプラグが使用され、75ΩのBNCコネクタは使用されていません。また、75Ωの同軸ケーブルを使用せずに、インピーダンス不明(?)のRCAケーブルで接続されていたり、AVアンプや5.1ch用ヘッドホンのアンプなどでは入力側が75Ωの抵抗1個と0.01uのコンデンサ一発でDIRの入力(シュミットトリガ付?)に接続されているだけの製品が多いようです。
オーディオ信号の伝送は誤り訂正や再送信などがないので、「これでいいんかいな」と疑問に思っていることも理由のひとつです。電気的な信号伝送という面ではハチャメチャでも、「光より同軸の方が音がいいこともある」というのがオーディオの「おもしろさ」でもあるのですが。

 umi_nekoさんからは、上記以外にCDのJitterについてもコメントをいただいています。
それに関しては次回に。

#2 その4 REX-Link2EXのデジタル出力について。」への2件のコメント

  1. フルデジタルでピュアオーディオをやっています。CDでも光と同軸では厳然とした音質差があり、光はサブ的にしか使えません。ピュア・オーディオをターゲットにするならば、同軸デジタル接続で安定したデータ伝送(高クロック安定度の)を保証すべきと思います。接続ケーブルのインピーダンスマッチングについてはユーザ責任であり、出力端までは完璧(EMI対策を含め)といえればいいと思います。
    やはり光のみでは安価製品と同様に技術的、コスト的に逃げているとしか思えませんし、マニアも納得しないでしょう。
    また、デジタル出力しか使用しないケースでは、DAC系電源部などを完全OFFできる機能もほしいですね。(私のシステムではDACは不要ですのでデジタル同軸出力(BNC)のみにしてほしいくらいです。)他社製品と差別化するにはそこまでやってもいいのではないでしょうか。
    ご検討願います。

  2. 上記コメントに全く同感です。デジタル出力専用機、XLR出力端子、RCA出力端子、DACレスを熱望します。ターゲットはハイエンドユーザーに限定します。REX-Link2のデジタル出力を利用しようとして不満を持つ人を対象にします。出力端まで完璧であれば充分メーカーとしての社会的責任は果たせています。実現すれば原理的には限界性能のCDトランスポートといえるからです。REX-Link2の安価なオーディオシステムへの貢献度は認めますが、それだけではあまりに惜しい技術と思います。
    試聴結果として光ケーブルは使えません。御社想定ユーザーには無用の長物、想定外ハイエンドユーザーにも不要の長物としか言えません。(期待するが故の暴言多謝!)

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