#3 2008 CESで見つけたもの その2

 教えられた部屋にゆくと、こちらも同じJoseph Audioのスピーカーを同じe.Oneのアンプで駆動しています。こちらは、Mac Book ProにBoot CampでWindows XPをインストールして、iTunesではなくMedia PlayerでWMV(非圧縮LPCM)ファイルを再生しています。また、DAC3との接続はUSBではなく、Mac Book ProのS/PDIF(光オーディオ)出力を使用していました。S/PDIFの場合は一方的に出力するだけで、フロー制御やエラーチェックができませんので問題かなとも思いますが、パソコン(Mac)側に余裕があれば、それでもよいのかも知れません。気になるe.OneのDAC3の中身ですが、もらった資料(StereoPhileという雑誌のReview記事・別刷)によると、意外と簡単でCS8416で入力された16bit/32kHzから24bit/96kHzまでのS/PDIFやAES,同軸などのいろんな信号を24bit/192kHzにアップサンプリングし、PCM1792一丁でアナログ変換しています。
USBからの入力は別のUSB専用DAC PCM2903を使用していますが、単にUSB→S/PDIFコンバーターとして使用しているだけで、S/PDIF変換した16bit/44.1kHzの信号はCS8416で他の信号と同様、24bit/192kHzにアップサンプリングされ、PCM1792に送り込まれます。この際にS/PDIFを光信号に変換し、フォトカプラを使用してUSBインターフェイス部(パソコン)と電気的に絶縁しているのではないかと思います。電源は昨年末、REX-Link2EXの実験用電源でも使用したNuvotemのトロイダルトランスが2個(Digital電源用とDAC出力部のOPアンプ用の電源用)使用されており、特別ややこしいこともせず基本に忠実な回路のようです。価格は1台US$2,450(約¥300,000)とのことです。

 もらったReview記事では、USB経由の音質についてPowerBook Titaniumに接続すると無音時のノイズが多くFM放送のようだとクレームをつけられています。Mac miniに変更するとノイズもなくなり、従来の入力(S/PDIFなど)と同程度にはなるが、それらに比べて、音にリズム感や、奥行き感が少ない、音楽に包み込まれる感じが少なく、高域のなめらかさも少ない。同じファイルをWi-Fi(Wireless LAN)経由でSqueezbox(Logitec製(日本のBrand名はLogicool)のLAN経由の圧縮ファイルデコーダ付きのDAC、US$300くらい)で再生したほうがいいとまで酷評されています。さらに、US$2,450ではなくUS$1,250くらいの価格帯を望むとまで言われてしまっています。

 しかし、Joseph Audioが自社のスピーカーのデモを行うために、堂々とMac Book + USB + DAC3を使用し、平気で酷評されているReveiwの別刷を配布していることや、実際に聴いた音から考えて、そんなに酷いとは思えませんし、bel canta社の自信やJoseph Audio社の信頼のようなものを感じます。Squeezeboxの音は昨年も騒がしいメイン会場でAVアンプ経由で聴いたことがあります。条件が違うので単純に比較はできませんが、DAC3の方が劣るということはないと思います。私としては「こんなReviewに負けるな、圧縮ファイルの再生とCDトランスポートの出力との比較ではなく、まずPCをHDDトランスポートとしてCDトランスポートに負けないような音にすべし」とDAC3とbel canto社を応援したくなります。
 PowerBook TitaniumのUSB AudioのFM放送のようなブツブツ音ですが、これはUSB Audio Driverの問題です。最近ではMacOS X-10.4の特定のVersion(Pre-install用)で、同じような問題があり、Appleから修正用Patchが提供されていました。パッケージ版についてはすぐに修正されましたので、もし同じような問題に遭遇されている方はMacOS Xのサイトを参照してください。日本でも「LAN経由ではなく、iTunesで出力するとシステムの警告音が音楽と一緒に出てしまう(AirTunesも同じなのですが)」というような評論記事をみかけますが、MacOS Xではきちんと音楽とシステム音の出力先を分離することができます。こういう基本的なことを知らないで執筆されたパソコン(Mac)+ AudioのReviewをまだよく見かけます。

デモ中の写真を撮影したのですが、綺麗に撮れておらず申し訳ありません。詳しくはbel canto社のURL<http://www.belcantodesign.com>を参照してください。

 2008ces_2

 次回はPS AudioのMemory Transportについて紹介します。

#3 2008 CESで見つけたもの その2」への1件のコメント

audio content へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です