#2 その16 電源について

 11月22日以来、本Blogの更新ができなったことをおわびいたします。実は現在、写真のようなHDMI-AUDIOスプリッタを開発中で、そちらに追われて本Blogがおろそかになってしまいました。
Hdmi_audio_a   Hdmi_audio_c  Hdmi_audio_b
<写真1>

 以前にも述べましたが、「Audioの楽しみ」にもいろいろあり、アンプを自作されたり、ご自分で気に入った装置をつくられる愛好家の方も沢山いらっしゃいます。しかし、世の中がどんどんデジタル化され、エレクトロニクスの世界も発展してくると、そのような愛好家にとって困ったことが生じてきました。それは、DACやアンプを作ろうとしても、部品が入手できなかったり、リフロー炉がないとハンダ付けできない(最近のAudio用DACの新製品は携帯機器への組込みを想定しているため、5mm角のBGAパッケージが中心で裏にはボールペンのボールのような足がびっしりと並んでいます)、プリント基板が必要などという問題が山積していて、どうにもなりません。そのため、結局、自作できるのは真空管アンプだけということになります。これはメーカにとっても同様で、REX-Linkで使用しているRF部やDACなどは5,000個/Lotで携帯電話の実装ラインの合間を縫って実装しなければならないので大変です。結局、小規模のAudioメーカも、生産設備が不要で手作りが出来て、金型代や基板設計費も要らない真空管アンプしか作れないことになります。

 そのような状況ですので、Audio愛好家にとって、Blu-RayやHD DVDを自作のアンプや自分が今まで情熱を注いで組み上げてきた装置で視聴するというのは困難になりつつあります。現実は、Playerの2ch Down-Mix出力を利用するか、AVアンプを別に買うかという選択しかありません。そこで、<写真1>のようなHDMI-Audioスプリッタを開発し、皆さんにユニットとして、DACユニットやS/PDIF出力変換ユニット、さらには自分で音作りが楽しめるようなSoftware開発Kit(実際はPCを接続してパラメータを変更して、ROMに書き込むだけですが)を順次提供し、皆さん自身の手にAudioの楽しみを取り返してもらおうという計画を実行に移すことにしました。このスプリッタを使用すると、HDMI信号に含まれている、すべてのAudio FormatのAudio信号を取り出して利用することができます(映像信号はそのまま、HDCPコントロールを行いながらスルーします)。ただし、Dolby TrueHDやDTS-HDなどのHigh-Bit-Rate信号は取り出せますがデコーダは含まれていませんので聴くことはできません。聴けるのはリニアPCM 7.1chやDSD(SACDと同じ1bit)信号ということになります。HDMIやHDCP-Keyのライセンス料は当社で支払いますので、購入された方はHDCPで保護されたコンテンツも問題なく再生できます。Dolby True-HDなどはPlayer内部のデコーダでリニアPCM信号に変換してHDMIに出力すれば、本スプリッタを通して自作のアンプで聴くことができます。

 話が横道にそれましたが、前回の写真の電源の回路は図のような簡単なものです。Cr2_pwu01_3
 結局、いろいろ実験しましたが簡単なものを基本に忠実に作るのが一番結果がよいということになりました。CO2排出削減には反するので量産はどうかと思いますが。

 AC100V電源の入口には3Pインレット、ヒューズ内蔵のラインフィルタを入れておきます。PCや携帯電話などのACアダプタだけでなく、液晶TVなどにもスイッチング電源が使用されており、AC100ラインにはスイッチングノイズが乗ってきますので、それらの侵入を防ぐためにもラインフィルタは必要と思います。スイッチング電源だけでなく、インバータエアコンや扇風機、調光式電気スタンド、古いところではヘアドライヤなどのモータ使用機器など、家庭内にはAC100Vラインや空中にノイズを撒き散らす機器はいっぱい存在します。しかも、これらの機器のほとんどがAC100ラインに直接、並列に接続されていますので、同じ部屋の中でなくとも同じ家(柱上トランスが同じなら近所からも)の中ならどこからでもAC100Vラインに乗ってやって来ます。Audio雑誌などでもこれらのノイズについて、音質に与える影響に関する記事がよく掲載されています。アンプの近くでこれらのノイズを低減させる並列型のノイズフィルタ(Quiet LineやNOISE HARVESTERという商品名)は以前から販売されていますが、今回は直列に挿入するタイプのラインフィルタを使用しました、ただし、このラインフィルタにはそれらの並列型フィルタと同じようにコンデンサが2本のライン間に実装されています。直列にコイルが入りますので高級AC電源ケーブルを使用しても、こんなのを間に入れたら意味がないと言われるかも知れませんが、強力にノイズをカットするためにはこちらの方が確実です。
 それともうひとつ、もし将来または現在既にPLC(高速電力線通信)をご使用中でしたら、ラインフィルタや並列型のノイズフィルタはPLC信号を減衰させてしまうので、PLCを優先するのであれば使用できません。PLCはAC100Vの電力線に高周波信号を乗せていますので、これらのフィルタを使用すると、高周波信号が減衰させられてしまい、機器間で通信できなくなってしまいます。PLC機器自体はAC100Vから信号を分離する回路を内蔵していますが、同じAC100Vラインを使用するAudio機器などはラインフィルタがないとPLC信号の高周波信号はすべて機器内にノイズとして飛び込んできます。PLC機器は昨年10月にやっと日本国内で認可され、EMC規制がありますが、現時点では各機器メーカの開発パワーは既存の機器にノイズとして飛び込ませないことよりも、PLC信号が如何に減衰させられずに家中に届くかということに注がれています。したがって、現時点ではAudio機器側で自衛し、PLC機器は完全に別系統のAC100Vで使用するということが必要と思います。REX-Linkのような無線方式に対して、「これからはPLCがAudio伝送の主流だ」という意見もありますが、現時点ではPLC信号はAudio機器には電源ノイズとなると思います。

 話が横道にそれてばかりでしたが、次回はラインフィルタから先に進みたいと思います。

#2 その16 電源について」への2件のコメント

  1. 今のところ私はピュア2ch派なのですが、SACDもマルチchで収録のものがあり、興味はありました。
    しかしSACDや新世代DVDの音声はHDMIでしか伝送できず、SPDIF入力のピュア2chDACが対応できないためにマルチに手を出すことに躊躇していました。
    この商品はまさに私のためにあるかのようです!
    PCでEEPROM?の内容を変えられるとのことですが
    HDMIの24bit192kHz、7.1chのLPCMを
    フロント2chSPDIF、
    サラウンド2chSPDIF、
    サラウンドバック2chSPDIF、
    センター+サブウーハ2chSPDIF出力
    ということができることを期待しています。
    #もし著作権上SPDIFデジタルoutがマズイということでしたら、DACの前に改造用に3線シリアルのパターンをつくっておいていただければ自分でやります
    PS3の4月のアップデートでDTSのデコードも可能になり、待ちきれない思いです。

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