#33 USB Audioについて (その2 Device Descriptor編 #1)

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Posted on 22nd 12月 2009 by admin in ものつくりの現場から

 USBは簡単に1本のケーブル(USBメモリーのようにケーブル不要のものもありますが)でいろんな機器を接続するだけですぐ使える状態になるということを目標に規格化されました。USB1.0として公表される前は、MicrosoftのWinHECやintelのIDF、PCIのDeveloper会議などで提唱者のPapertさんがセントロニクスのプリンタケーブル、RS232Cのケーブル、SCSIケーブルなどの束をお坊さんの七條袈裟のように身に纏い、右手には1本のUSBケーブルを持って、「これらすべてのパラレルケーブルがこれ一本になる!」とプレゼンしていました。その時はUSBオーディオなどとは思いもよりませんでした。またAudio Video関係は放送局や録音スタジオ用などを含めてIEEE1394(i-Link)が優勢でしたので、AV分野ではIEEE1394が勝つものと思っていました。たしか当時はMIDI(ASYNCシリアル)をUSB上に移植しようというのがUSB オーディオの始まりだったと記憶しています。

 その後、1998年にUSB Device Class Definition for Audio Device 1.0, USB Device Class Definition for Audio Dataformat 1.0, USB Device Class Definition for Audio Terminal Type 1.0が制定され、現在私たちが使っているUSBオーディオの基本形が出来上がりました。これらの規格は2006年5月にそれぞれ2.0に更新されていますが、DolbyやDTS,MP3,AACなど圧縮フォーマットの取り扱いやMulti ChannelのLPCMなどの取り扱いが追加されているだけです。私たちが対象としているLPCM-2ch.に関してはRev.1.0から何も変更されていません。Terminal typeでは1.0の頃からUSB Transport用にS/PDIF outputという種別がありましたので、この種別コードを使用したUSBデバイスをWindowsに接続するとS/PDIFというアイコンが表示されます。

  USBポートに何らかのUSB機器を接続すると、OS(WindowsやMacOS、Linuxなど)がUSB機器に対してDevice Descriptorと呼ぶ機器固有の情報を提供するように要求します。その後、その情報を解析しOS内部に登録します。この一連の操作がEnumerationとかConfigurationと呼ばれ、Registryと呼ばれる内部領域に登録されます。このへんがUSB機器にとっての第一関門です。さらにOSはそれぞれのUSB機器に対応したDevice Driverをロードします。ロードする際にはRegistryや*.infと呼ばれる特別な情報ファイルを参照します。USBオーディオ機器の場合はusbaudio.sys(Windowsの場合)というDriverがロードされなければなりません。ここまで到達してはじめてWindowsではデバイスマネージャのデバイス(種類別)表示でUSBコントローラーの下にUSB複合デバイスとして、さらにサウンド、ビデオ、およびゲームコントローラーの下にUSBオーディオデバイス(Windows7、VistaではUSB機器のDevice Descriptorに記述されているモデル名)が黄色の!マークや赤のX印なしで表示されるようになります。ここまで到達するためにはUSB機器側ではOSが発行するRequestに対して応答しなければならないだけではなく、上記の3種の規格書で定義されているDeveice Descriptorの個々の内容に従って間違いなく記述されたDeveice Descriptorを返送しなければなりません。みなさん方は自分でDescriptorを記述することはまずありませんのでこれらの文書は必要はありませんが興味のある方はwww.usb.orgからzipファイルの形でdownloadできますので参照してみてください。TIのPCM2704などを使用してUSB DACを自作される場合はVendor名やModel名などが書き換え可能領域としてユーザーに開放されていますのでこれらの文書を参照されるのもよいと思います。

 実際のUSB機器内部のDevice Descriptorを読みだして表示させるユーティリティがMicrosoftから提供されています。本来はWindows DDK(Device Driver Development Kit)に含まれていてMSDNからfreeでdownloadできたのですが今は見当たりません。しかし、usbview.exeで検索するとdownload可能なサイトを見つけることができます。図-1のようにピンクに色が変わっている機器がEnumerationとCondigurationが完了している機器を示します。各機器の詳細な情報を表示させるためにはOptionsタブのConfig Descriptorにチェックマークを付けてFileのRefleshをクリックしてください。図-2は実際にRAL-2496UT1のDevice Descriptorを読みだしたものです。Device Descriptorから読みだされた情報、特にInterface Descriptorはusbaudio.sysやMediaplayer, Quicktime Player, Mixerなどでも参照され、USBから送り出すオーディオデータのサンプリング周波数やbit数が決定されます。

PCAudioBlog_22Dec2009_fig1

<図-1>usbview の EnumerationとCondigurationが完了している機器

<図-2>USB Audio Device の Device Descriptor例(RAL-2496UT1)

 したがって、Deviece Descriptorを見るとそのUSBオーディオ機器が持つ能力をすべて知ることができます。

 Device Descriptorは図-2の左側のコメントに示すようなブロックに分かれています。2番目のConnection StatusはDescriptorに記述されているものではなくusbviewが現在の接続状況を表示するために付け足したものです。先頭のDevice Descriptor部はUSB機器すべてに共通でオーディオ機器であろうがHDDであろうがキーボードやマウスでも同じ書式です。idVendor欄のVendor CodeはUSB I/Fによって割り当てられたベンダコードで私たちの会社は1412なので16進の0x0584が記述されています。その次のidProductは私たちが割り当て、USB I/Fに登録します。その下には製造者名、型番などが記述されている場所へのindexが記述されていますのでusbviewが読みだして表示しています。これらの製造者名や型番はWindowsではコントロールパネルやデバイスマネージャで表示されます。上記のようにPCM2704ではこの部分は書き換えることができますので、PCM2704を購入して自分でUSB DACを作られる方は100円くらいの256ByteのSEEPROMを追加して挑戦してみて下さい。USBオーディオデバイスとしてmy nameが表示されるのも楽しいものです。

 その次のControl転送、interupt転送用のEndpoint Descriptor 2個(入出力用)はResetなどのCommandやStatusの受け渡しのためにUSB機器が必ず備えていなければならないものです。Configuretaion descriptorも同様で、ここではBus_Poweredという記述子と消費電流の記述子に注目しておいてください。

 それに続いていよいよUSB Audio固有のInterface Descriptorが登場しますが、説明は次回以降で..

#32 USB Audioについて (その1)

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Posted on 16th 12月 2009 by admin in ものつくりの現場から

 2月25日以来、約300日近くお休みをいただきました。HDMIを忘れてしまった訳ではありませんが、今回から今が旬(?)のUSBオーディオについていろいろ記載してゆきたいと思います。休ませていただいている間に(10月の半ば頃)USB オーディオに関するご質問をYHさんからいただいていますので、この連載のなかで紹介、回答させていただきたいと思います。

 私たちが細々と続けていたPCオーディオも最近はオーディオ誌が特集を組んだりするようになり、パソコンユーザーだけではなくオーディオマニアの人たちからも注目されるようになりました。24bit/96kHzや24bit/88kHzの高サンプリングレートの音楽ソースが簡単に入手できるようになり、それらを再生するためにPCオーディオやネットワークオーディオを使用しなければならなくなったという背景もあると思われます。
 
20091216a_s  PCオーディオの場合、パソコンで管理している音楽をもっとも簡単に取りだす方法がUSBオーディオであるということは事実です。特別なデバイスドライバーなどをインストールする必要もなく、LANの設定などを行わなくともUSB DACやトランスポートを接続するだけで音が出せますのでパソコンに詳しくない人達でも簡単に使用できるという便利さがあります。ただし、現時点ではUSBから24bit/96kHzなどの高サンプリングレートの音楽を出力させるためにはMedia PlayerやQuickTime Playerなどで24bit/96kHzや24bit/88.2kHzを扱えるように設定する必要がありますが、LANの設定に比べれば簡単で間違えてもLAN全体やWebブラウザなどに影響を与える恐れはありません。ネットワークオーディオの場合はLANの設定が必要なのと、外出時でもサーバーの音楽が取り出せるというのは著作権保護の観点からとても危険です。Winnyなどで簡単に音楽ファイルが取りだされてしまう恐れもあります。USBオーディオでもパソコンにネット経由で侵入されれば同じことですので、外部侵入に対するセキュリティ対策には気をつけておくべきと思います。DRM(デジタル著作権保護)の有無に関係なく、音楽CDをリッピングして作成したファイルの取り扱いに注意するのがPCオーディオを楽しむ上での最低限のマナーだと思います。

 USBオーディオが一般的になってくるのはUSBの開発に15年以上(USB1.0として公開される前から)かかわって来た身としては嬉しいことですが、霊感商法や催眠商法と紙一重のケーブル商売や制振グッズ商売などがUSBオーディオの周囲にも登場し、しかももっともらしい理論付けをしているのを目の当たりにするのは、あまり嬉しくありません。また、USBやパソコン関連と言うだけで「どうせパソコン屋が雑に中国あたりで作ったものだ」と軽蔑する人達もいます。確かにUSBインターフェイスなどは、時間と労力、開発費用をかけて開発して世に出しても、半年もすれば設計データをタダで入手し基板を中国で作って販売する会社が現れ、価格が1/5から1/10になってしまいます。時間と労力、費用をつぎ込んで開発している身としては、そのような商品が出回ることに対してやりきれませんが、パソコン関連メーカーのUSB製品すべてがそうではないということは認識していただかないと困ります。

20091216b_s  USB DACとしてよく採用されているPCM2704も10年くらい前に日本バーブラウンの人達の努力によって開発されたものです。当時私たちの会社はUSB2.0のホストアダプター(CardBusカードやPCIボード)を開発・販売していましたので、USAで年に4回開催されるUSB Compliance Work Shopと呼ばれる催しにSuite(試験室)を持っていました。そこにはいろいろなUSB機器を開発している人達が開発中の製品や試作品を持ってやってきます。そこで私たちのホストアダプターと接続して正しく設計どおりに機器やデバイスドライバーが動作するかということをお互いにMicrosoftやintel、Appleなどのエンジニアを交えて確認を行います。PCM2704の場合、日本バーブラウンの人がいつも日本から出張されてきて、相互接続試験や互換性試験のために私たちのSuite(試験室)に来られていました。その人達の努力のお陰でPCM2704が商品化されパソコンやUSBの仕組み、ソフトウェアやハードウェアについて何も知らなくともデータシートに記載されているとおりに、いくつかの受動部品(CR)を接続してUSBポートに接続すれば音がでるというわけです。そのためかどうか知りませんがUSBやWindows、MacOSなどに詳しくないオーディオメーカーなどがPCM2704を採用しているようですが、USBの信号線の処理などがメチャクチャで信号品質が基準外のようなものがあったりして、お手軽に作っているとしか思えないようなものも見かけます。その上、USBオーディオの伝送などについて珍説を披歴していたり、「CDを超えた」と大きく豪語していたりします。何も知らずにものを作っているのでケーブルや振動対策で音質向上を図る以外の術がないと思いますが、そんなに簡単にCDの音質を超えられるとは思えません。CDはUSBより10年以上の長い歴史があり、多くの人達がいい音を出すために努力を積み重ねてきたはずです。もちろんCDという方式にはいろんな問題や限界があり、ある部分に関してはPCオーディオ、USBオーディオの方が優れていることもあります。しかしPCオーディオとUSBオーディオにもいろいろ問題があり、中には致命的とさえ言えるものもあります。正しい知識に基づく検証や改良が行われないままでは「超えられてしまったCD」やCDの開発にかかわってきた人達だって堪らないと思います。また、USBオーディオやPCオーディオも進歩がないと思います。

Ral2496ut1_s  私たちのPCオーディオの「いい音」の基準はとてもシンプルです。開発作業中には澤野工房から発売されているトヌーナイソーのアルバムをよく聴いています。7月28日に「なにわの日Jazzコンサート」というのが大阪市浪速区の通天閣の展望ホールで行われ、トヌーナイソー本人がやってきました。通天閣の展望ホールですので、鉄骨があちこちにあって音響効果など良いわけがありませんし、ピアノもベーゼンドルファーではなく人力で階段を担ぎあげたYAMAHAです。トヌーの前に大石学さんが演奏されましたが、弾く人によって同じピアノから全く違った表情の音が出ることに感心しました。そしてトヌーが背中を丸めて最初のピアノタッチの瞬間に出る「コロッコロッ」としたトヌーの人柄そのもののような音を生で聴くことができました。その時に、今までUSB DACの開発中に聴いていた音を思い出し「こりゃあかん、あんな音出してたらトヌー泣きそうや」と恥じ入りました。トヌーを泣かせないような音を出すこと、それが目下のUSB DACの開発の「いい音」の基準であり、演奏者が表現したいことをきちんと伝えられるようなUSBオーディオインターフェイスをつくるのが当面の目標です。もし、それを実現するのにUSBオーディオよりもっといい手段があれば開発テーマをそちらに移すことになると思います。

 前置きが長くなりましたが、本連載ではUSBオーディオの仕組みや問題点などについて説明してゆきたいと思います。例によって、測定データなどを示しながら行いますのでいつ連載が終わるのかわかりませんが続けてゆきたいと思います。

 P.S.)カット写真は、USBオーディオの最近の実験基板類や、最近発売したRAL-2496UT1の基板です。

本日発表! USBオーディオトランスポート。

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Posted on 14th 12月 2009 by admin in お知らせ

オーディオ期待の新製品「USBオーディオトランスポート RAL-2496UT1」を12月下旬より出荷開始いたします。

Ral2496ut1
今度の製品は、有線でパソコンとオーディオ機器をつなぐアダプターです。

パソコンのUSBポートから入力したオーディオデータを、デジタル(光または同軸)端子またはアナログ(RCAまたはヘッドホン)端子と、さまざまな接続方法が選べるUSBオーディオトランスポートです。

しかも、24bit/96kHz、24bit/88.2kHzに対応し、HDオーディオソースもそのままのクオリティで再生が可能。

16bit/48,44.1kHzに対応した従来のUSBオーディオインターフェイス製品では、USB転送フレーム内のサンプル数に追従してオーディオ用のクロックを作成していました。
しかし、本製品では独立したオーディオクロック専用の生成回路を組み込むことでサンプリングクロックのジッター低減を実現しています。

専用のドライバーも必要ない簡単で、今注目の24bit/96kHz、24bit/88.2kHzに対応したUSBオーディオトランスポート。あなたのコレクションに加えて、ぜひそのHD音質を楽しんでください!

プレスリリース → HD音質24bit/96kHz、88.2kHzに対応した USBオーディオトランスポート発売

製品情報 → USBデジタルオーディオトランスポート「RAL-2496UT1」

『ラトックプレミア楽天市場店』では、発売を記念して「RAL-2496UT1」ポイント10倍プレゼント実施中です。期間限定ですのでお早めに!
http://item.rakuten.co.jp/ratoc/ral2496ut1/

USBワイヤレスオーディオ2製品の価格改定。

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Posted on 1st 12月 2009 by admin in お知らせ

本日、USBワイヤレスオーディオ2製品の価格改定を行います。

Rexlink2whp2

USBワイヤレスオーディオアダプタ REX-Link2
新標準価格(税別)¥16,000(旧標準価格(税別)¥17,800)
 製品情報 → http://www.ratocsystems.com/products/subpage/rexlink2.html

USBワイヤレスデジタルヘッドホン REX-WHP2
新標準価格(税別)¥22,000(旧標準価格(税別)¥31,800)
 製品情報 → http://www.ratocsystems.com/products/subpage/rexwhp2.html

今回の値下げによって、高音質で自由度の高いPCオーディオ環境をよりリーズナブルに構築いただけます。
プレスリリース → http://www.ratocsystems.com/info/news/2009/1201.html

ラトックプレミア楽天市場店』では、この2製品のポイントを期間限定で10倍プレゼント実施中です。
◆オーディオアダプタ → http://item.rakuten.co.jp/ratoc/rexlink2/
◆ヘッドホン → http://item.rakuten.co.jp/ratoc/rexwhp2/