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2008年8月 8日 (金)

#26 Digital Audioの伝送について(S/PDIF編 その6)

 更新が1ヶ月ほど遅れてしまいましたが、前回に続いてS/PDIFのChannel Status bitのお話です。前回までのお話で飛ばしたbit8~bit15についてお話することにします。


 Channel Status bitを構成するbitの呼び方は先頭(Frame#0)から順番にbit0、bit1...と名前をつけますので、bit8~bit15はFrame#8からFrame#15に含まれているC bitということになります。この8bitは特別にCategory Codeと呼ばれ、著作権(Copyright)管理のために各bitの意味が規定されています。Category Codeは入力されたデジタルオーディオ信号を通過させるだけの機器を除いて、民生用のデジタル録音機器に対してデジタルオーディオ信号を供給する能力のあるいろんな機器から出力されるデジタルオーディオ信号の出自を分類するために使用されています。このように規格書のような表現をするとややこしくなりますが、簡単に言えばCDプレイヤとMDレコーダをS/PDIFで接続した場合、MDレコーダ側にS/PDIFを通して伝えられるデジタルオーディオ信号はCDから再生したオリジナルなので録音禁止(あるいは1回まで?)ということを通知するための仕組みです。MDレコーダ側でこのCategory Codeが無視されれば意味はありませんが、こようなケースを念頭に置いていただければCategory Codeに関するお話はすぐに理解していただけると思います。


 Category Codeのうち、bit15は特別な意味を持っていて、L-bitと呼ばれ、規格書にはS/PDIF上を伝送されるデジタルオーディオ信号の「世代」を表す、"Generation status"として記載されています。その意味するところは、伝送されるオーディオ信号が著作権を持った正しい音源から提供されたものかどうかを示すということになっています。つまり、商業的に配布されている録音済みのCDやDAT、放送などによるデジタルオーディオ信号の出自を示し、オリジナルかあるいはそれらからCopy録音されて作られたものかどうかを示します。

 一般的には、bit15(L-bit)が'0'であれば「指定なし(No indication)」を意味し、'1'であれば「商業的にリリースされた録音済のソフトウェア(楽曲。コンピュータのプログラムではありません)」を意味します。ややこしいのは、例外で歴史的な経緯(規格が決まる前に勝手に使っていた?)から、CDやMDなどのレーザー光を使用する製品(Category Codeが'100 xxxxL')や放送波(受信後S/PDIFで伝送する場合。Category Codeが'001 xxxxL'および'011 1xxxL')の場合には一般的な場合とまったく逆になり、bit15(L-bit)が'0'であれば「商業的にリリースされた録音済のソフトウェア」を意味し、'1'であれば「指定なし」を意味します。

 Category Codeの詳細は表#26-1から#26-9までを参照してください。


26_1_3


26_2_3

26_3_2

26_4_4

26_5_2

26_6_2

26_7_2

26_8_2

26_9_2

 S/PDIF編は今回でひとまず終わりにして次回からはHDMIでのAudio伝送の方に話題を変えて行きたいと思います。S/PDIFのFormatの詳細は実際にS/PDIFを使用している機器のソフトウェアをつくる立場にある人を除けば、直接関わることはほとんどありません。しかし、今後ダビング10などが普及してくると著作権保護などで多くの人々に関係してくるかも知れません。

 最初はこんなに詳細に説明するつもりではありませんでしたが、Net上では、単にコネクタの形状だけしか説明していないような情報が氾濫し、実際にオーディオ信号が伝送されている仕組みを考えずに、「音が悪い原因について」いろいろと論評されているのを読んで「思うところ」があったからです。

 S/PDIFに限らず、いろんな技術を開発し世の中の多くの人々に使ってもらうためには大勢の人々の知恵と工夫、努力が積み重ねられています。「いい音がする」という人間の脳内の意識を客観的で合理的に説明し、「何台作ってもいい音がする」ことを目標としてオーディオ機器の技術は進歩してきました。どんなに努力して作った技術的に優れたものであっても「いい音がしなければ」受け入れられないという厳しい現実はありますが、デジタル伝送の場合は、まず最低限、伝送途中で情報を失わない、余計なものをくっつけないことを実現すべきと考えています。音の入り口と出口(スピーカ)はアナログですので、そこで大いに「いろんなものをくっつけたりして」楽しめると期待しています。