2008年8月

          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

コメント・トラックバックについて

コメントはご自由にお書き下さい。
なお、当サイトに関係のない内容のものにつきましては削除させて頂くことがありますので予めご了承下さい。
また、お書き頂きましたコメントはリアルタイムに公開されませんので合わせてご了承下さい。
トラックバックにつきましても同様になります。
Powered by TypePad

« 2007年3月 | メイン | 2007年5月 »

2007年4月27日 (金)

店舗でのデモの様子をご紹介<東京編>

 実際にREX-Link2REX-WHP2で音を聴いてみたいという方のために、販売店様にご協力をいただき、店頭でのデモ実施を進めています。
 今回は店舗でおこなっているデモ展示の様子を報告します。

<東京>
RATOC AKIBA ショールーム(OPEN時間11:00~19:00)(TEL:03-5207-5010)
ショールームではインターネットに接続したPCにREX-WHP2を接続しナクソスが提供するクラシック音楽を視聴することが可能です。ご要望によりiTunesや音楽CDでの視聴も可能ですのでスタッフにお声がけください。
※4/28~5/6は休業させていただきます。
Showroom_image2

ソフマップ 秋葉原 2号店 Mac Collection 2F 新品Macデスクトップコーナー(TEL:03-3253-3155)
2F 階段側のMac Proコーナーでの試聴出来ます。
ハイエンドMacと大型ディスプレイ環境に、快適なワイヤレスオーディオが楽しめます。
Map_mac2 Map_mac1

その他の店舗でもデモ展示をおこなっています。こちらのブログでご確認ください。
http://blog.ratocsystems.com/pcaudio/2007/04/rexlink2rexwhp2_b94f.html

2007年4月26日 (木)

GWの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」で展示

今回はGWにおこなわれるイベントのお知らせです。
今年のGW休暇日数は平均7.2日、連続休暇の日数は平均5.4日と発表がありましたが、皆様のGWはいかがでしょうか? 予定はもうお決まりですか?

実はGWもまっただ中の5月2日から5日間にわたり東京で開催される日本最大の音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」REX-Link2REX-WHP2が展示していただけることになりました。
展示場所はナクソスのブース内です。ナクソスが配信している様々な音楽非圧縮の高音質なREX-Link2REX-WHP2でお楽しみください。

◆開催概要◆
タイトル
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2007 ~民族のハーモニー~
http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/index.html

日時・会場
東京
東京国際フォーラム(全館):2007年5月2日(水)~5月6日(日)
丸の内・周辺エリア:2007年4月29日(日)~5月6日(日)

デモ場所
東京国際フォーラム 地下2階 展示ホール(1)通称 ガラス棟 地下2階 展示ホール「モルダウ」
http://www.t-i-forum.co.jp/lfj/outline/hall_str.html

日本最大の音楽祭に参加してREX-Link2REX-WHP2を実際にお試しください。

2007年4月25日 (水)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その10 REX-WHP1からWHP2へのみちのり 後編

 私達もベンチャービジネスのはしくれですので、モットーは「日々是創業、日々是実験」です。ということでREX-WHP1の発売後、すぐにREX-WHP2の開発にとりかかりました。まず、今度は「おっ、おっ、大きい」と驚かれないようにヘッドホン自体を小型にしなければなりません。しかし、このBlogの最初の方で述べましたように、安物のヘッドホンユニットを採用するわけにはゆきません。そこで、いろいろと考えた結果、外出時の携帯用ヘッドホンとしては、当時、発売されたBOSEのノイズキャンセリングヘッドホン程度の大きさが妥当ということに落ち着きました。当然、同じくらいの大きさの有線ヘッドホンの中高級品に相当する音質や装着感必須です。ということで、ヘッドホンユニットは30mmΦのドライバを採用することにしました。REX-WHP1は53mmΦという大型のドライバで低音もゆったりと出ましたが、30mmΦになるとどうかなと気になりましたが、REX-WHP1と同じ国産の有名メーカのものを提供してもらうことになりましたので、低音も高音もたっぷりと出ました。音質面での問題はこれでクリアされました。
 電池も何とかREX-WHP1と同じ容量(1,150mAh)のLi-ion電池をハウジングに収納できました。ワイヤレス部は最初はREX-WHP1と同じ方式、Chipセットで試作を行い、DACやアンプ部はREX-WHP1より、はるかにパワーのある国産LSI(4W+4Wの出力があり、小型のアクティブスピーカ用として充分使用できるようなものです)を使用しました。このアンプはD級のデジタルアンプで消費電力が少なく、しかも効率がよく、そのうえ直流カット用の電解コンデンサなしでスピーカー(ヘッドホンのドライバユニット)を駆動することができるタイプです。REX-WHP2の場合は30mmΦのドライバユニットを採用したため、ハウジングが小さく、音質に影響する大型・大容量の直流カット用の電解コンデンサ(オーディオ用の特別なものです)を2個(L,R用)も基板上に実装して収容できなかったため、このLSIを採用しました。また、効率をあげて消費電力を減らして電池を長持ちさせるためD級のパワーアンプを採用した結果、電池15時間以上持つようになりました。

 REX-WHP1発売の1年後(2005年秋)にはREX-WHP2の量産サンプルも出来上がり、強度試験なども行いました。音質は強力なパワーアンプを搭載したこともあってREX-WHP1に比べて、はるかにパワフルな音で、なかなかのものが出来上がりました。しかも、今度は携帯に便利なように、持ち運び時に左右のハウジングを90度ずつ回転させて、ポーチに収容できるような構造のヘッドバンドを採用し、ポーチも新たに用意しました。
 これで準備はOKと思っていたのです、量産開始前に無線RF部で使用していたChipセットの半導体メーカがそのChipのIPや販売権中国の会社にまるごと売却してしまい、ファームウェアなどでいろいろ協力してくれていた韓国のエンジニアのサポート受けれらなくなってしまいました。このままでは、ファームウェアの改良などができなくなるため、ソースコードの買取などいろいろ交渉しましたが埒があかず、将来のことを考えて、結局無線RF部のChipセットを再度、最初から探しなおすことにしました。折角、基板も完成し強度試験も済ませたのに、損害は甚大です。しかし、発売後のことを考えるとChipの安定供給やファームウェアの修正は避けて通れません。
Rexwhp2 結局、その後、さらに1年以上かけて、Audio Streamをデジタル伝送するのに適した無線Chipセットを2,3種類、評価を行い、最終的に今回発売したREX-WHP2出来上がりました。結果的にワイヤレス部CDと同じリニアPCM 2ch.(16bit/44.1kHz)の非圧縮伝送となり、DAC部やデジタルアンプ部もiPodや高級Audio機器、高級サウンドボードなどで採用されているDACと同じメーカー(Wolfson)の新型を採用することにしました。そうなると音質がかなり変わりますので、再度ヘッドホンメーカーにお願いして、ヘッドホンとしての音質調整をしていただきました。着手から2年半がかりでやっとREX-WHP2完成です。

 携帯性や大きさ、装着感や音質は実際に店頭デモで確かめてみてください。REX-WHP1とはまた違った、パワフルな音を楽しんでいただけると思います。もちろん、ユニットの大きさやヘッドバンドの構造が違いますのでREX-WHP1にはかなわない部分もありますが、小型の携帯用ヘッドホンとしては「いい音のヘッドホン」に仕上がっています。どうぞお試しください。

2007年4月24日 (火)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その10 REX-WHP1からWHP2へのみちのり 前編

20041118audio_2  いろんな困難を乗り越えてやっと、REX-WHP1発売されたのは2004年12月です。その前の11月中旬に発表会を開催し、マスコミ関係者販売店の方々に現物に手を触れて、音を聴いていただきました。
 ヘッドホンユニット国産の高級品と同じものを採用しましたので、当然ですが音質や装着感については好評をいただきました。重さに関しても有線タイプとほぼ同じ重さにまとめましたので、特に「重い」というご意見はいただきませんでした。しかし、iPodと組み合わせて使用する外出時の携帯用ヘッドホンとしては、皆さん一様に「おっ、おっ、大きい」と驚かれた様子でした。確かにREX-WHP1装着したまま、ジョギングに出かけたり、フィットネスセンターで運動するというのは無理があると思います。現実的には、静かにソファに座って読書をしながら音楽を聴くというのが一般的な使用法でしょうか。
 REX-WHP1にはiPod接続用REX-WHP1Pの他、PCのUSBポートに送信機を差込み、PC上でiTunesやMedia Playerを動作させてREX-WHP1で音楽を聴くというモデルREX-WHP1Uもあり(REX-WHP1PのiPod用送信機にもUSBポートがあり、PCのUSBポートとケーブルで接続し、同様に楽しむことができます)、こちらの方はノートPCやデスクトップPCで音楽を聴きながらPCで何か作業をしたり、PCから離れてうっとうしいケーブルに邪魔されずにソファに座って読書や編物などをすることができます。
 Rexwhp1p   Rexwhp1u_3
 あるいは、DVD再生ソフトウェアにDolby Headphoneのエンコーダがオプションで組込まれていれば、DVD再生時、5.1ch.の音声REX-WHP1のいい音で楽しむことができます。ただし、無線部が2.4GHzとは言え、RF部がBluetoothと同じ物理層を使用していますので、PCのUSBポートから出たリニアPCM2.1ch.の音声は送信機、受信機内部のDSP(Digital Signal Processing)により、SBCコーデックと呼ばれる方式で圧縮復元されて私達の耳に伝えられるため、PCのアナログ出力ジャック(スピーカ端子)に有線ヘッドホンを接続した場合と比べて少しだけ遅れます。DVD再生ソフトウェアのDolby HeadphoneをONにすると、豊かな音がひろがってなかなかいい感じですが、このSBCコーデックによる約30mS程度の音の遅れは、残響の多い広い映画館で舞台のスクリーンの後ろのスピーカからの音声を聞いていると思えば気になりませんが、ゲームなどをされる方には気になったようです。

Audiobasic_2005spring_2  iPodの音楽をワイヤレスで飛ばしてオーディオセットで再生するREX-Link1PやヘッドホンREX-WHP1Pは、発売後、"Audio Basic" 2005年春号(Vol.34)共同通信社)というオーディオ雑誌でも紹されました。「なかなかいい音がする」ということで好評をいただきました。この他の雑誌いろんなWebでも紹介いただいたり、量販店の店頭でも展示視聴いただき、REX-WHP1の「いい音」を体験していただきましたが、価格(店頭で¥39,800程度)や外出時の携帯用としては大きすぎることなどから実際の売行きは今ひとつでした。
 iPodなどの携帯オーディオ機器の所有者を対象とした調査報告がwebでも公開されていましたが、ヘッドホン(イヤホン)を買うとしたら、音質や装着感を優先して選び、予算は¥3,000くらいという結果が報告されていました。私達としては、iPod用のヘッドホン(カナルタイプのイヤホン)で¥50,000や¥30,000クラスの製品でも売れていることから考えて、REX-WHP1の音質やヘッドホンとしての高級感から考えて¥39,800決して高くはないと思っていたのですが、いかんせんiPodなどの携帯用としては大きすぎました。室内専用となると今度はiPod用のドックスピーカーREX-Link1Pとも競合します。PC用のUSB接続のヘッドホンとしては、室内で作業(キッチンで調理をしながらというユーザもいらっしゃいます)などをしながら音楽を楽しんだり、大画面PCでDVDを再生したりという使い方で好評でした。

 そして私達はREX-WHP1の発売後、すぐにREX-WHP2開発にとりかかりました。

2007年4月23日 (月)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その9 iPod用送信機をつくる3

 クランプの手作り試作品を使用して、送信機とヘッドホンの間で実際に送受信テストを行い、それぞれのアンテナの最適な位置を決めて行くことになりましたが、ヘッドホンはiPodに接続する送信機だけではなくPC用のUSB送信機とも組み合わせますので、そちらとの兼ね合いもあります。
Headphone_head  iPodと送信機の合体コンビの場合、距離は1mか2m以内(送信機にUSBケーブルが接続できるのでPC用の送信機としても使用可能なため、その場合は10mくらいの到達距離が必要です)でもOKですが、ポケットに入れたり、カバンの中に入れたりするので人体からあまり離れたところで電波を出しません。また、iPod miniはアルミ製のボディ、iPodも金属製の背面カバーを使用していますので、クランプで合体させてポケットの中に入れると、送信機は金属と人体(アース電位)の間にはさまれて、電波の送受信性能が低下してしまいます。これを避けるため、送信機内部でアンテナの位置をあちこち移動させて最適なところに決めましたが、ポケットの位置や入れ方に大きく影響されてしまいます。しかし、さまざま検証の結果、最悪の場合でも音切れやノイズがなく、iPodの音楽をケーブルフリーで楽しめるレベルを実現しました。

 いろいろ実験や試作を繰り返した結果、量産が始まりTELECの認定(日本国内で電波を使用する製品を販売するためにはTELEC・総務省の認定試験に合格させなければなりません)も取得し、これでOKというところで、またまた問題が出てきました。
 それはiPodの大きさがみんな違うということです。さらに、大きさが異なるiPodが次々と発売されるではありませんか。結局、クランプはiPod mini用第2世代iPod用第3世代iPod用3種類の金型を製作するはめになり、iPod Photoや第4世代以降の機種には厚さを調節するラバーシートをはさむことで解決しました。でも、発売2年後にiPod nanoという全く大きさの異なるものが登場した時は大慌てで、結局、少々ブサイクですがレザーポーチで対応することにしました。
nanoの場合はあまりにも大きさが違いすぎるので、クランプでは対応できなかったのです。
Ipod_3   Ipodnano_pochi

 これで、やっと発売までこぎつけました。

2007年4月20日 (金)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その9 iPod用送信機をつくる2

 私達はその頃、ワイヤレスヘッドホン(REX-WHP1)の開発と並行してiPodに接続するための送信機開発も行っていました。ヘッドホンと同時に発表、発売する計画も進行中だったのです。

 送信機の電力をiPod本体から取るために、第3世代のiPodやiPod miniの30Pinコネクタからは3.3V最大100mA程度の電力は取り出せることを確認しました。しかし、30Pinコネクタの使用申請時Appleのエンジニアに相談しましたが、当時は内蔵バッテリのもち時間が広告では8時間なのに、3時間くらいしかもたないということで訴訟騒ぎになっていたこともあって、"absolutely not!(絶対にダメ!)"と拒絶されてしまいました。そのため、iPodからの電力に頼ることなく送信機単独で最低でも12時間もつようなバッテリを内蔵させることにしました。
 結局、バッテリはヘッドホンに採用したものと同じSONY製のLi-ion電池を採用しました。電池を内蔵させますので、当然のことですが充放電制御回路やオートシャットオフなどのファームウェアも組込む必要があります。また、第1世代、第2世代のiPodでも使用できるようにイヤホン端子から音楽信号を取り出して(ちなみに、著作権保護の観点からiPodからはデジタルで音楽は取り出せないような仕様になっています。30Pinコネクタを使用してもアナログ信号でしか取り出せません)、CDと同じ44.1KHzでサンプリングを行い、CDと同じ左右それぞれ16bitのリニアPCM信号を生成するA/Dコンバータも内蔵させる必要があります。

 それらを、iPod miniと同じサイズのプラスチック製ケース(金属製ではアンテナを外に出す必要がありますので)を作成して収納することにしました。当然、また金型作成費用が必要です。iPodの外観に合わせるため色は白、表面の仕上げも同じようにするために金型の内側にメッキを施しました。
Ipod_send_sample  2ヵ月後にできあがった、ケースの’試し打ち’サンプルを見ると、なかなか綺麗に出来上がっていました。しかし、問題はどうやって、iPodと一体化するかということでした。iPodとはAudio用のケーブル1本でつながっているだけですので、そのままでは持ちにくく、携帯性はゼロです。他社の製品のように、iPodの背面にマジックテープで貼り付けるという荒っぽくイージーな方法もありましたが、あのピカピカに磨き上げられた背面や、自分の名前やApple logoが彫刻されている上にマジックテープを貼り付けるというのは、もし私達自身がiPodのオーナーだったらと考えるとなものです。そのため、iPodと送信機を重ねてポコンとはめ込めば合体できる’クランプ’作成することにしました。

 クランプの手作り試作品を使用して、iPodを接続した送信機とヘッドホン間で送受信テストを繰り返しおこないました。

2007年4月19日 (木)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その9 iPod用送信機をつくる1

 今までの話のなかで詳しくは触れませんでしたが、ヘッドホンをつくるためにはデザインも重要です。
 ヘッドバンドの部分は国内メーカが特許を持っているものを使わせてもらうことにしましたが、ハウジングの部分は特別にデザインしてもらうことにしました。音量ボタンや電源ボタン、リンク状態を示すLEDや充電用ジャックの穴など、有線ヘッドホンにはない部分が多いですが、当然、すべての部品の金型を作成する必要があり、多額の費用がかかります。海外製をOEMで購入する場合と比べて、こういう部分でどんどんコストが膨れ上がってゆきます。
Rexwhp1_headband_3  Haedphone_lamp_4
 新しく出来上がった金型で’試し打ち’を行い、何個か試作品ができると音質調整や基板の機能テスト、強度試験を行いますが、ワイヤレスヘッドホンではその他に、電波状態についてもテストや調整を行う必要があります。なにしろ、人間の右側頭部から15mmから20mm離れたところに受信機のアンテナを配置しなければなりませんので、地面(大地アース)の上にアンテナを置いているのと同じようなものです。また、受信機とはいえ受信状況やいろんなステイタス、確認応答信号などを送信機に送信しなければなりませんので、受信性能だけでなく、送信性能追求しなければなりません。
 実際はヘッドホンに基板を組込んで、頭に載せてあちこちうろうろ歩き回ったり、体をくるくると回しながら、音楽が途切れたり雑音が紛れ込んだりしないかどうかということを確かめてゆきます。REX-WHP1Uの場合は送信機がPCのUSBポートに接続する形のため、送信機からの距離や方向などをいろいろ変化させながらヘッドホン内部のアンテナの位置を決めてゆきました。

 私達はその頃、ワイヤレスヘッドホン(REX-WHP1)の開発と並行してiPodに接続するための送信機開発も行っていました。ヘッドホンと同時に発表、発売する計画も進行中だったのです。

2007年4月18日 (水)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その8 髪の毛をチリチリにしないために...電池で苦労する<後編>

安全性電池の容量サイズ配置、さまざまな面に配慮し、REX-WHP1ヘッドホンの内蔵電池としてはLi-ion電池を採用しようということになりました。また、iPod程度の電池のもち時間(連続11時間)を実現するために、当時のiPodに内蔵されているのと同じようなサイズ(1150mAh)のLi-ion電池を採用することにしました。この電池なら、電圧も3.7Vあり、LDO(低電圧降下)タイプのレギュレータを使用すればレギュレータ自身でのロスも少なく、安定した3.3V電源が作れそうです。外形も円筒型のものもありますが、PCカードやCFカードのような大きさと厚さをした製品を採用することにしました。重量も軽く、ヘッドホンのハウジングに内蔵させるのに最適で、左右の重量やハウジングの内容積もバランスをとりやすくなります。
 Li-ion電池はこのようにいいことばかりではなく、価格の面や供給面(基本的に外形は個別の特注仕様なので、大量注文が必要)で問題があるだけでなく、使い方を誤ると発熱、発火するという大問題があります。ヘッドホンの場合、使用中に発熱して、発火したりすると、プラスチックのハウジングの変形という事故だけではなく、装着中であれば顔や耳を火傷させてしまったり、髪の毛をチリチリにしてしまう危険性があります。事故が多い充電中はACアダプタを接続しているので、頭上に装着しているケースが少ないとは言え、発火事故を起こすと大変なことになります。単なる「液漏れ」では洗えば落とせますが、火傷はそういうわけにはゆきません。

 私達のヘッドホンで採用したSONY製のLi-ion電池は、内部に過電流防止などの制御を行うICなどが組込まれており、安心して使用できますが、それでも私達が設計した基板上の充放電回路にミスがあると事故をひき起こす可能性があります。いろいろと調査したり、実験をしたり、ランニングテストを行ったり、電池メーカのアドバイスを受けたりしながら、REX-WHP1の電池まわりの基板を作成しました。この基板と電池はREX-WHP1の左側のハウジングに収納されています。
 幸い、製造以来2年半以上経過しましたが、発熱や発火事故は皆無です。昨年、世間を騒がせたPCの発火事故の後、私達も在庫品をすべてチェックし、電池メーカにも提出して調査してもらいましたが問題はありませんでした。しかし、電池は充電や放電を繰り返すと、徐々に充電してもすぐ空になるという性質(寿命?)がありますので、今後も継続して実験を続け、REX-WHP1やREX-WHP2を愛用していただいている皆様に安心してお使い続けていただけるよう、より安全にLi-ion電池を使いこなすための経験を積み重ねてゆきたいと考えています。

 電池や基板が完成すると、いよいよヘッドホンに組込んで左右のバランス高音域低音域などの音の出方を調整する「音質調整」や、落下輸送時の衝撃、ユーザの手荒い取扱に耐えるかどうかということを調べて改良するための「強度試験」が始まります。強度試験では実際に50セットほどのヘッドホンを壊して、いろいろ調べます。もちろん、ヘッドホンメーカーでこれらの調整や試験を行う前に、電気回路(基板)は完全に動作するよう、無線部分を含めて電気的に性能が出ているか検査しておく必要があります。当然ですが、検査のためには検査プログラムや、試験用の信号を出すソフトウェア試験用のファームウェア、それらの書込みプログラムなど用意するものが一杯あります。海外のワイヤレスヘッドホンメーカから完成品を購入して、ブランドを付け替えて販売するだけであれば、こういう苦労とは一切無縁ですが、それでは私達も「ものつくりの喜び」を味わえませんし、購入していただいた方にも「使う楽しみ、所有するよろこび」を味わっていただけません。
 
 ワイヤレスヘッドホン、しかも「いい音がする」ものをつくろうなどと大それたことを考えて突っ走るというのはイバラの道を突っ走っているようなものですが、出来上がった試作品のヘッドホンで、最初に自分の好きな曲がノイズもなく、期待していたような音で聴こえた時の喜びは何ものにも替えがたいものです。

 やっと音はでましたが、まだまだイバラの道は続きます。

2007年4月17日 (火)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その8 髪の毛をチリチリにしないために...電池で苦労する<前編>

ワイヤレスヘッドホンを文字通りワイヤレスで使えるようにするためには、受信部、DAC(デジタル通信の場合は必須)、アンプ部とそれらを動作させるための電源を供給するための電池が必要です。電池は小さくて軽く液漏れなどの事故を起こさないようなものを選定する必要があります。また、回路全体の消費電力を抑えるとともに、長時間、電池がもつように電池の容量にも注意する必要があります。本Blogでも既に述べましたが、ヘッドホンのハウジングはスピーカボックスのようなものですから、あまり大きな電池を入れるとハウジング内部の容量が減少して、オリジナル(有線接続時)の音と変わってしまいます。とりわけ、片側にのみ電池を入れるという構造ではバランスを取るのが難しくなります。それに装着した場合に左右の重さがちがうと首筋が疲れます。

 最も簡単なのは単3か単4の乾電池を2個ほど、ヘッドバンドに配置するという構造です。つまり、即頭部の左右に乾電池を1本か2本ずつ貼り付けるような感じになります。こういう構造のワイヤレスヘッドホン(赤外線方式の製品はコードレスヘッドホンと呼ばれていることが多いようです)などもありますが、ヘッドバンドの調節が難しく装着した感じがあまりよくないので採用しませんでした。また、無線方式の場合、消費電力が少ないものでも100mA程度、多いものでは300mAを超えるような場合もありますので、単4乾電池X2本では2~3時間程度、単3乾電池では3~4時間程度しか持ちません。
 乾電池と同じサイズの充電式のニッケル水素(Ni-MH)電池もデジカメ用としてポピュラーですが、単位電圧が1.2Vと低いので2本直列でも2.4Vにしかならず、ヘッドホン内部回路を動作させるための3.3Vの安定した電圧を作るためには、DC-DCコンバータでいったん5V程度に昇圧しなければなりません。このDC-DCコンバータが曲者で効率があまりよくなく、しかも自分自身でもかなりの電力を消費します。また、乾電池やNi-MH電池の場合、日本の有名ブランドの製品を使用しないと液漏れなどの事故の心配があります。実際に、ある音響メーカが販売している2.4GHzワイヤレスヘッドホンは内部で中国製のNi-MH電池(単3型)を使用していますが、「事故の恐れあり」ということで回収/交換をしていたことがあります。電池を使うのは一見簡単そうですが、子供の頃よく作ったマブチモーターと電池を使った模型工作のような感覚で電池を使っていると大変な目にあいます。

 そういうことで、REX-WHP1ヘッドホンの内蔵電池としてはLi-ion電池を採用しようということになりました。電池のもち時間(連続11時間)を実現するために、当時のiPodに内蔵されているのと同じようなサイズ(1150mAh)のLi-ion電池を採用することに決めたのです。

2007年4月16日 (月)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その7 ケータイをつくるような技術が必要?

 彼と実験中に、GCTという韓国系の半導体のファブレスメーカーが2.4GHzのワイヤレスでAudio Streamを流すことに特化した半導体を作っているという話を耳にしました。しかも、RFとBB(ベースバンド処理部)の2chip構成で、BB部のLSIにはプロトコル制御用のマイコン、音声CODEC用のDSP、バッファRAM、USB-Audioインターフェイス、DACやADCとのI2Sインターフェイス、さらにS/PDIF入出力まで内蔵されており、あとはファームウェア格納用のフラッシュメモリとDAC+アンプを外部に追加すればよいという話ではありませんか。これは、じっとしているわけには行きません。早速、調べてみるとシリコンバレーのサンノゼにオフィスがあり、しかも私達の会社のサンノゼオフィスのすぐ近くだということがわかりました。押しかけて行っていろいろ聞いてみると、残念ながらUSAオフィスでは別の製品を担当しており、その製品は韓国にエンジニアがいるということでしたので、韓国の方に連絡を取ってもらい、実験用の評価Kitを入手することにしました。実際にいろいろ実験を始めると、ソウルと大阪は距離も近く、相手側に日本語がぺらぺらの方がいて、ずいぶん助かりました。

 これでRFやBB部の構成も決まり、商品化への入口にやっと到達しました。あとは一瀉千里で突き進むだけ..のはずでしたが、干潟に飛び込んだようになかなか進まず、最初のワイヤレスヘッドホンREX-WHP1の発売までさらに1年半以上、苦闘が続きます。真空管アンプなら個々の部品も大きく、「音がいい」と評判の部品などを取っかえひっかえしながら、ヒアリングテストや測定を続け、実験や試作を繰り返すことができます。また、基板を使用してもパターンの線幅が太く、カッターナイフとスズメッキ線で簡単に修正することができます。
しかし、これらのRFやBB用のchipの場合は0.3mm間隔でLSIの足(端子)が並んでいたり、10mm四方のLSIの裏に、ちょうどボールペンの先くらいの大きさのハンダボールでできた足が256個、びっしりと並んでいました。また、USBの送信機をUSBフラッシュメモリと同じくらいの大きさにしたり、受信機側もヘッドホンに内蔵させるために小さく、軽くするため(ヘッドホンの左右の重量バランスを取るためには適当な重さが必要ですが)には、抵抗器やコンデンサなども小さなものを使用する必要があります。たとえば、抵抗器の大きさは0.6mmx0.8mmなどを使用せざるを得ないこともありますので、間違えるともう一度、最初から基板作成、実装(リフローラインと呼ばれるハンダ付け工程)をやりなおす必要があります。
また、オーディオアンプなどでは、高級品でもプリント基板は片面(銅箔が片側のみ)か両面で絶縁層もコストの安い紙エポキシで1.6mmくらいの厚さが、REX-Linkの場合は6層で全体の厚さが1.2mm、しかも表面からはパターンやスルーホール(各層の面上にある銅箔上の信号を接続するための貫通穴)が見えないようなブラインドスルー構造や穴埋め工法も採用せざるを得ませんでした。これらのことを考えると、携帯電話の内部の基板を開発、設計、実装する技術や設備がないとワイヤレスオーディオの製品やワイヤレスヘッドホンは実現できないということになります。幸い、私達はPCカードの開発や製造を10年以上続けていたので、小さくて軽いなものをつくるのは得意で、いろんなノウハウを持っていました。
Cr_rxb01_2   Cr_rxb02

 次に必要なのはアンテナの設計技術です。当初はワイヤレスLAN用のPCカードに搭載されているようなセラミック製のチップアンテナの適当なものを実装しておけば何とかなると安易に考えていたのですが、どうもうまくゆきません。また4層基板の銅箔でアンテナパターンを作成するという方法もありましたが、簡単には設計できそうにありませんし、実験するための測定設備やシールドルームも必要です。既存のワイヤレスヘッドホンを台湾や香港(中国)で買ってきて、自分達のブランドをつけて販売するのが、コストもかからず簡単ですが、本連載のはじめにも記載したように「自分達でつくろう」と決めた以上は後退できません。そこで、「PCカードつながり」で携帯電話用のワイヤレスモジュールを量産している大手部品メーカの研究部門RF部分やアンテナ部、基板の設計をお願いすることにしました。私達の方はDACまわりやAudio部、USBまわりを主に設計することにし、ファームウェアについてはソースコードライセンスの交渉がまとまらなかったので当面は要求仕様を出して韓国のエンジニアに修正してもらうことになりました。

 このようにしてスタートしたREX-Linkプロジェクトの第一号商品は2003年11月発売のREX-Link1でした。REX-Link1はPCのUSBポートに接続する送信機と、オーディオアンプやコンポステレオに接続する受信機のセットで、まだヘッドホンではありませんでしたが、とにかくPCワイヤレスオーディオを世に問うことができました。
 
 ここから、ワイヤレスヘッドホンREX-WHP1の発売まで、さらに1年間、解決しなければならない問題が山積していました。

2007年4月13日 (金)

REX-Link2・REX-WHP2デモ実施店舗情報

 実際にREX-Link2REX-WHP2で音を聴いてみたいという方のために、販売店様にご協力をいただき、店頭でのデモ実施を進めています。
 デモ展示をしていただいている、もしくは開始予定の販売店様をご紹介します。

REX-WHP2 デモ実施店舗
Rexwhp2_4
<東京>
RATOC AKIBA ショールーム(OPEN時間11:00~19:00)(TEL:03-5207-5010)
ショールームではインターネットに接続したPCにREX-WHP2を接続しナクソスが提供するクラシック音楽を視聴することが可能です。ご要望によりiTunesや音楽CDでの視聴も可能ですのでスタッフにお声がけください。

REX-Link2 デモ実施店舗
Rexlink2
<東京>
RATOC AKIBA ショールーム(TEL:03-5207-5010)

T-ZONE PC DIY SHOP 2F (TEL:03-5295-8482)

ビックカメラ 有楽町店本館 4F パーツコーナー(TEL:03-5221-1111)


<大阪>
ジョーシン J&Pテクノランド 4F 登りエスカレータ前のPC展示内(TEL:06-6634-1211)
最新VistaパソコンへREX-Link2を接続し向かい合わせのスピーカーから高音質なサウンドが流れています。

ソフマップ ギガストア なんば店 ザウルス2 ハード館 3F 自作パーツのベアボーンPCコーナー(TEL:06-6634-0071)
ベアボーンPCコーナー左端のPCから右端のスピーカーまでデジタル無線で飛んでいます。店内は無線LANが飛び交う厳しい環境下ですが、REX-Link2は高音質サウンドを実現しています。

<名古屋>
Bicカメラ名古屋 3F スピーカーコーナー(TEL:052-459-1111)
ケーブル接続時と変わらない音質をお分かりいただけるようセレクターを通して3つのスピーカーでお試しいただけます。質問等あればお気軽に販売員までお尋ねください。

コンプマート名古屋 1F Mac本体コーナー(TEL:052-589-3000)
Macでも使えるREX-Link2。ケーブル接続だと配線が邪魔ですがワイヤレスなのでいい感じです。特にMacBookをお使いの方にお勧めです。

ツクモ名古屋1号 3F サウンドボードコーナー(TEL:052-263-1655)
かなり電波が飛び交っている状況ですが、音飛びが無く快適です。興味がある方は是非お試しになってください。

コムロード春日井 スピーカーコーナー(TEL:0568- 87-5101)
4/12よりデモ開始
設置に手間が掛かると思いましたが、設定せずそのまま使える手軽さに驚きました。音飛びもありませんから、ワイヤレスの感覚が無くいい感じです。

グットウィルEDM 3F サウンドボードコーナー(TEL:052-249-3875)
4/18よりデモ開始
現在、デモ機の設置準備中です。楽しみにお待ちください。


お近くの方は是非お立ち寄りください。

2007年4月12日 (木)

ワイヤレスヘッドホンをつくる その6 ワイヤレスの話

 ヘッドホンとスピーカーでの聞こえ方の違いの調整についてはPCのオーディオ ドライバーで行うことにして、ワイヤレス化を実現する上で最も基本になるワイヤレス技術のことについて少しお話したいと思います。

 PCオーディオ用のワイヤレスヘッドホンをつくろうと決めたのは2001年頃で、まずは量産レベルで利用できる技術やデバイスを探す必要があります。当時から赤外線通信を利用したワイヤレス(コードレス)のヘッドホンは市販されていました。しかし、指向性があること、光を遮られると通信が止まってしまうことなどから、TV視聴時のように、じっと同じ方向を向いて座っているような使い方に限られてしまいます。TVやDVDなどを鑑賞する場合はこれでもOKですがヘッドホンで音楽を聴く場合はそういうわけにはゆきません。また、音楽を聴きながら何かの動作をする場合にコードがうっとうしくて邪魔になるからワイヤレス(コードレス)ヘッドホンが欲しくなるわけですから、赤外線によるワイヤレスヘッドホンは「音楽を聴く」ためには適さないということになります。また、当時の主流はアナログ変調でしたのでノイズを拾いやすく、音質的にもオーディオ用の中高級ヘッドホンと比べてどうかなと思えましたので、「赤外線方式」は選択肢から外しました。

 そうなると、いわゆる無線の技術の中から捜すことになります。簡単なのは昔、Videoゲームなどで使用されていたUHF送信機(TVの空きチャンネルにゲームの画像や音声を飛ばしていたのを思い出してください)やFMのワイヤレスマイク用送信機です。受信側もFMラジオ用のICを流用すればできないことはありませんが、なんせFM波ですので1/2波長でも160cmくらいあり、アンテナが大変です。ミニコンポなどを購入すると同梱されているFM簡易アンテナ(300ΩのTVアンテナ用フィーダ線で作られたT型のアンテナです)をご存知の方はアンテナの大きさを実感できると思います。相手が放送局なら、電波の出力も強力で周波数のふらつきもありませんので、まだいいほうですが、USBポートに接続する小さな送信機と、ヘッドホンに内蔵させる受信機、しかもロッドアンテナなどの大げさなアンテナなしではそううまくはゆきません。iPod用の車載・FMトランスミッタをご使用中の方はおわかりだと思いますが、室内を受信側が動きまわったりするともう安定した受信は無理です。また、ノイズや音質面でも感心しませんので、これも選択肢から外しました。

 次は35MHzや900MHzなどのコードレスホン用の送受信ICを流用することを検討しました。実際にこれらの周波数帯域を使用したStereoヘッドホンがUSA国内では家電量販店で販売されていました。しかもFry'sというシリコンバレーの有名な量販店ではUS$39.99という価格です。これはUSBではなく、アナログ入力(TVのヘッドホン出力に接続する)で簡単に使用することはできますが、音質はコードレスホンなみで、しかも受信側(コードレスホンの親機)にロッドアンテナなどが必要だったりするので断念しました。日本国内では電波法の問題もあります。日本国内でも家庭用のコードレスホンが普及していますので、頑張ればStereoヘッドホンも作れたかもしれませんが、音質面では無理があると思います。Skype用のコードレスホンなどは実用化されると、PCの前にへばりついていなくともよいので便利かも知れません。

 結局、PCとの親和性を考えると、Wi-FiやBluetoothなどで使用されている2.4GHzのRFテクノロジーを使用するのが音楽のデジタル伝送には一番よさそうということになり、使えそうなものを探すことにしました。シリコンバレーでいろいろ情報収集を開始すると、同じようなことを考えている人や会社が結構ありました。しかし、ほとんどがMP3のファイル転送や、シリアルブロック転送プロトコルをベースに考えていて、IEEE1394のIsochrounous転送のようにオーディオ Streamを流せるものは現実にはありませんでした。MP3のファイル転送ベースでワイヤレスヘッドホンを使用すると、ヘッドホン側で下手をすれば1曲まるまるバッファリングしなければならなくなる可能性がります。しかも、遅れがとても大きくなり、音楽を聴くだけならともかくDVDなどの観賞用としては「クチパク」がひどくて使えません。

 RF部に関してはWi-Fiと同じDS方式、Bluetoothでも使用されているSS方式のどちらでも良かったのですが、消費電力の関係でSS+FH方式を選択しました。とにかく、試作してみないと話にならないということでいろいろ探していると、RF+BB+マイコン+MP3デコーダ+DAC+アンプ+バッファRAM+フラッシュメモリという構成でハードウェアを試作して、「クチパク」はソフトウェアで頑張って目立たなくするということを実験している人(博士号を持っていました)に出会いました。何かの展示会で、私がRF関係の半導体メーカーのブースで質問したのち、そこから立ち去ろうとすると後ろから近づいてきて、やおらジャンパのポケットから試作品を取り出して説明をし始めました。まるで麻薬の売人みたいですが、「同好のよしみ」ですっかり仲良くなりました。その試作品でいろいろ実験を行ったり、日本に持ち帰って有名スピーカーメーカーの人にも見せたりしながら、改良タイプを何セットか作ろう(なんせ、試作品は彼の手作りの1セットしかありませんでした)と計画を練っていました。その後、他の展示会でも彼は同じような方法でゲリラ的にいろんな人に試作品を見せていたようですが、新しいスポンサーが見つかったのか、彼とは連絡が取れなくなってしまいました。彼は、私達が今もずっとワイヤレス オーディオ機器の開発を続けていることを知っているのでしょうか。そこで、今度は私達だけで試作品をつくろうと計画を変更しました。

 ワイヤレスヘッドホンに最適な半導体を探す旅はまだまだこの後も続くことになります。

2007年4月11日 (水)

ワイヤレス ヘッドホンをつくる その5 ステレオとバイノーラルの話<2>

スピーカーとヘッドホンでの音の感じ方を通して、「いい音」と思えるヘッドホンを探すためには、基準となるヘッドホンや音楽(CD)をだいたい決めておかねばならないということがわかりました。

 CDを決めるとなると、こんどはどのように録音されたのかということも気になってきます。演奏会場などで、スピーカーなどは2チャンネル(Stereo)になっているのに、司会者のマイクが1本で、左右のスピーカーから同じ音量の音が出ている場合、目をつぶっていると司会者が舞台の袖にいても前方中央にいるように聞こえます。これは1本のマイクで拾った音を、そのまま左右のチャンネルに流しているためです。左右のスピーカーから再生して、位置関係がわかるように左右で音量差や時間差、位相差をつけるためには、左右それぞれの合計ふたつのマイクで録音する必要があります。工学的には左右それぞれのマイクが1対1でスピーカーに対応しているものをステレオ(Stereophonic)と呼ぶようです。録音する場合、二つのマイクをあまり離しすぎると、中央部が何もないような音になってしまいますので、通常は左右10cmくらいまでの間隔で離して録音するようですが、録音したものを再生すると双眼鏡で覗いているような感じになりやすいので、ほとんどのCDは個々の楽器や歌手などの音源を個々のマイクで拾って、左右2チャンネルにミキシングしながら制作されています。

Binaural  一方、これまで説明したようにスピーカーとヘッドホンの音の聞こえ方の違いにこだわると、ヘッドホンで聴いた場合に最適になるように録音するという方法もあります。その方法はバイノーラル(Binaural)という方法で図のように左右それぞれのマイクの位置を私達の鼓膜の位置に相当する部分に設置して録音する方法です。実際には人間の頭の原寸大のダミーヘッドと呼ばれるものにマイクを埋め込んで録音します。骨伝導や耳道(鼓道)のことを厳密に考えなければ東急ハンズなどで売っている発泡スチロール製のダミーヘッドを買ってきて自分で作ることもできます。バイノーラルはこの方式で録音されたCDなどが少ない(あまり見かけません)こともあって知らない人が多いのですが、工学的には頭部伝達関数(HRTF)など、音波の人体内部の反射や回析が研究されており、ヘッドホンの設計などにも活用されているようです。internet上でもいろんな議論がされていますので興味のある方はご覧ください。人によってはバイノーラル録音された音楽をヘッドホンで聴く方が、スピーカーで聴くよりは「いい音」がすると主張されています。しかし、いろんな音楽を聴いて楽しむためには、録音エンジニアのミキシングを信じて、時にはスピーカーで、時にはヘッドホンで聴くしかありませんので、ヘッドホンで聴いた場合に、「いい音」だと感じていただける製品をつくるのが私達のテーマです。

 ちなみにPC(Windows)のコントロールパネルの「サウンドとオーディオデバイスのプロパティ」で「オーディオの詳細プロパティ」を開くと「スピーカーの種類」を選択することができるようになっています。ここで「ステレオヘッドホン」を選択してみてください。左右のチャンネルの音をすこしずつミキシングしてスピーカーで聴いた場合と距離感や定位に違和感を感じないように補正されていると思います。

 私達はこういう実験や研究から、DSP(デジタル信号プロセッサ、音声や画像の圧縮や復元に使用されているCPUの一種です)で、わざと位相差音量差時間差を作り出して音の立体感を作り出すということも実験しています。
実験や研究の成果はREX-Linkシリーズの製品として、また皆様のお目(耳)にかかると思います。

2007年4月10日 (火)

ワイヤレス ヘッドホンをつくる その4 ステレオとバイノーラルの話<1>

 ワイヤレスヘッドホンをつくるために、ヘッドホン探しや実験をいろいろ続けているうちに面白いことに気付きました。皆さんはヘッドホンで音楽を聴いた場合、どんな風に感じますか? スピーカーで音楽を聴いた場合比べて違う感じを受けませんか? 「いい音」のするヘッドホンユニットを探し回るためには、試聴した時に「あっ、いい音だ」と直感できるようなヘッドホンに出会った際に、私たちの内部に「いい音」の基準がなければ選定することができません。問題はその基準のほうで、いつもスピーカーで音楽を聴いていて、スピーカーで聴いた音との比較ヘッドホンを選ぶというのは、ちょっと違うのではないかと感じるようになりました。
 スピーカーとヘッドホンでは当然、駆動するアンプも違いますが一番大きな違いは、スピーカーの場合、室内の反射音や残響音などいろんな音がみんな、聴いている私達の両方の耳に飛び込んでくることです。これに対し、ヘッドホンの場合は耳もとのドライバユニットから外耳道を通って左右それぞれの鼓膜に直接伝わります(オープンエアタイプのヘッドホンの場合は外部の音が聞こえますが、それは別の音源です。また、ヘッドホンから頭の骨伝導や人体内部の反射など工学的にはいろいろと頭部伝達関数などで定義されているようですが、今は無視してください)。

 CD(ステレオ)の音楽を聴いてみた感じですぐわかることは、スピーカーで聴いた場合、一般的には左Ch.と右Ch.のふたつのスピーカーユニットで正面から聴きますから、ある程度以上の再生装置で聴くと目の前にパッと音が拡がるという感じは経験されていると思います。たとえば、最近の大画面薄型TVをお持ちの方はステレオ放送のCMになるとパッと音が拡がるというのを体験されているのはないでしょうか。これに対し、ヘッドホンで聴くと、頭のてっぺんから音が聞こえる感じがしたり、高級ヘッドホンで聴いても、後頭部の下のほうで音がふわっと広がるような感じを受けると思います。この感じはスピーカーからの音を反対方向を向いて聴いた場合の感じとも違います。
 私達が普通にステレオと言っているのは、正確にはステレオフォニック(Stereophonic)を省略したもので、ご存知のように左側の音を出す系統と右側の系統の2チャンネルで構成されています。理想的には再生時に左右ふたつのスピーカーを正三角形の一辺の両側に配置して、それに対峙する頂点に私達がいるという配置で聴くことになります。工学的には1辺が3mの正三角形が望ましいとされているようですので、日本家屋では8畳間を占領する必要があり、私達には理想的環境で聴くことは無理かも知れません。
 ステレオ音声をスピーカーで聴く臨場感や立体感が得られるのは、私達の耳がもともと左右の耳(鼓膜)に飛び込んでくる音の時間差、位相差、大きさ(音量)を感じ取って頭のなかで組み合わせ、音源との距離感、音源との位置関係を把握しているということを利用しているからです。左右ふたつのスピーカーがそれぞれ自分の右側、左側にあるという位置関係を把握できるのも、左右の耳に届く音の時間差や音量差を感じているからなのです。また、実際に音楽を聴くと、右側のスピーカーから出ている音も左の耳に入ってきますし、その反対に左側のスピーカーから出ている音も右の耳にはいってきます。さらにそれぞれのスピーカーから出た音が左右の壁や天井、床、家具などで反射・共鳴した音も両方の耳に時間差や位相差、音量差をともなって飛び込んできます。そしてなによりも私達は自分の現在位置を基準にしてスピーカーがどこにあるかということを、それらの情報をもとに、常に判断しています。同時に、このような状況で音楽から感動を得たり、「いい音」を感じたりしているわけです。
 一方、ヘッドホンで聴く場合はどうでしょうか、右側のドライバユニットから出た音は右側の鼓膜にしか届きません(この際、骨伝導やエウスタキオ管を通して喉経由で裏側でつながっているということは無視してください)。左側も同様です。そうすると、録音にもよりますが、元の演奏時の楽器の位置や距離感(配置)などを把握するのがむずかしくなり、スピーカーで聴いた場合と異なった感じを受けるのは当然です。また、部屋の反射や残響もありませんのでさらに感じが違ってきます。当然のことですが、ヘッドホンの場合は部屋の反射や残響に影響されません。工学的にはヘッドホン(イヤホン)でステレオ録音された音を聴くことをバイフォニック(Biphonic)というそうですが、世間一般ではステレオヘッドホンで通用していますので、本Blogではヘッドホンもステレオとしておきます。

 ということで、「いい音」と思えるヘッドホンを探すためには、基準となるヘッドホンや音楽(CD)をだいたい決めておかねばならないということがわかりました。

2007年4月 9日 (月)

REX-WHP2が出荷開始となりました

Rexwhp2_3  本日、USBワイヤレスデジタルヘッドホン「REX-WHP2」が出荷開始となりました。

 直販サイトRATOC Directにてご予約いただいていた方へは本日発送しておりますので、明日以降のお届けとなります。
また、全国の販売店様の店頭でも明日以降ご購入頂ける形となります。なお、配送の都合上、若干遅れる地域がありますので予めご了承下さい。

 製品のパッケージですが、REX-WHP2でも、REX-Link2と同じく高音質というコンセプトを踏まえ、高級感を出すために黒を基調に、クラシックな感じにまとめました。また、どうやって使うものかが一目でイメージできるビジュアルを目指しています。
 なお、パッケージイメージはこのようなものです。(画像では若干奥行きが厚く見えていますが)
Rex_whp2_pac

店頭でお探しの際には是非目印にしてください。

2007年4月 6日 (金)

ワイヤレス ヘッドホンをつくる その3 ヘッドホンユニット決定

 台湾や中国でワイヤレス ヘッドホンのOEMを熱心に売り込むメーカもありましたが、私達の「こだわり」を満たす製品はなく、ワイヤレス部やDAC+アンプ部を自分達でつくることにしました。

 私達が採用しなかった製品を採用して販売している音響メーカもありますが、内蔵電池が液漏れを起こすので電池を回収、交換したり、2.4GHzの通信が送信機から受信機への一方通行のみでチャンネルが固定のためWi-Fiネットワークと干渉してヘッドホンに音楽信号が届かなくなってしまっても送信機は全く「我、関せず」という状態なので、回収してファームウェアを変更したりといろいろとトラブルを抱えているようです。
このあたりは、黄色いケーブルの802.3イーサネットの頃から20年以上ネットワークにかかわっている私達のほうが経験豊かな分だけアドバンテージがあります。また、電池にも組込マイコンボードのバックアップなどでずいぶん失敗を繰り返してきましたので「この電池は怪しい、使うのはやめよう」という第六感が働くようになりました。ちなみに、REX-LinkシリーズではSONY福島製のLi-ion電池を採用し、充電回路についてもいろんな条件を電池メーカの技術者から教えてもらいながら設計された安定した回路や素子を採用しています。SONY福島製のLi-ion電池は昨年、ノートPCの発火事件や電池回収で大騒ぎになりましたが、REX-Linkシリーズで使用している電池とは構造も形状も違いますので、ご安心ください

 ヘッドホンのことをいろいろ調べているうちに、オーディオ用ヘッドホンをワイヤレス化するには、ハウジング部の内部に基板や電池などを詰め込まなければならないので、内部の容積音の反響や共鳴などの条件が変わってしまうので、設計しなおさなければならないこと、左右の重量バランスをとるための調整や、左右の間を何本もケーブルを渡さなければならないのでヘッドバンド部も設計しなおす必要があることなどが判ってきました。
また、オープンエアタイプのヘッドホンはハウジング部に基板や電池を内蔵させることはできないので密閉型を採用するしかありません。
 どうやら、ヘッドホンの世界も奥深いようで、私達が考えていたように、ハウジング部か頭のてっぺん(ヘッドバンド)の部分に基板や電池をいれるだけではすまないようで、「いい音がするもの」をつくろうとすると簡単には行かないということがわかりました。そこで、まず「音質」の基準を決めようということで、中高級オーディオ ヘッドホンを買い集めて試聴をくりかえしたり、海外の有名ブランドにOEM供給している中国メーカに横からアタックしたりといろいろ試行錯誤した結果、いろいろとワイヤレス用に設計変更、改造をしてもらわなければならないし、コミュニケーションのこともあるので、国内のメーカにお願いしようということになりました。
いろいろとあちこちツテを頼って、お願いした結果、高級ヘッドホンで有名な国内のメーカが引き受けてくれることになり、やっと実現まで一歩前進しました。

 ヘッドホンユニットのメーカがやっと決まったところで、次回はちょっと横道にそれてヘッドホンに関係があるバイノーラルのお話をいたします。

2007年4月 5日 (木)

ワイヤレス ヘッドホンをつくる その2 ヘッドホンユニットを探す

 ワイヤレス ヘッドホン用やPC用ということでヘッドホンユニット探しを開始することになりました。
台湾や香港、中国のヘッドホンのOEM供給メーカに打診すると、まず最初に勧められる(売り込まれる)のは、一般的によく見かけるBluetoothタイプのヘッドホンで採用されているようなプラスチックのフレームのユニットでした。よくよく見ると¥980くらいで量販店で販売されているPC用ヘッドホンのユニットやフレームと同じもので、ドライバユニット(スピーカ)のハウジング部にワイヤレスの基板や、電池を収容できるスペースが用意されています。これらを採用すれば、コストもかからず(US$2.00程度)で、金型費用の負担も最小限ですみます。音質ニの次、コスト第一ならこれを採用するしかありません。しかし、ワイヤレス部やDAC+アンプ部、充電式バッテリ、それに送信機のコストなどを考えると、いくらヘッドホンユニットのコストがUS$2.00程度でも、当時のコストでは最終製品の店頭での価格¥15,000~19,800程度がギリギリでした。

 私達自身がヘッドホン購入者の立場に立って考えると、一般的に¥10,000以上のオーディオ用ヘッドホン(有線)を購入する場合は、音質、デザイン、フィット感にこだわります。¥980のPC用として売られているヘッドホンと変わらない音質やフィット感では、いくらワイヤレスでうっとうしいケーブルから解放されると言っても、音楽を聴くためにヘッドホンを¥19,800も出して購入しないと思います。ということになると、オーディオ用の有線ヘッドホンでは中級から高級のランクに相当する価格帯のヘッドホンとしても音質やフィット感でも満足してもらえそうなヘッドホンユニットを探さなければなりません。そうなると。今度はPC用やワイヤレス用ということを告げずに、普通のオーディオ用ヘッドホンをまず探して、それから、これをデジタル ワイヤレス化したいのですが....という話し方をしなければなりません。

 当然、台湾や中国にも既にワイヤレス ヘッドホン(赤外線方式も含めて、主にTV用やDVD用にオーディオ用ヘッドホンっぽい形をしたもの)をOEM商品として持っているメーカもありました。そういうところからも熱心に売り込まれましたが、電池が怪しかったり無線の通信方式が一方通行でワイヤレスLANや電子レンジなどと競合すると手の打ちようがなさそうなものだったり、日本の電波法に触れるので、そのまま使用できないようなものだったり...という現状でした。
しかし、私達は「こだわり」を実現するためにワイヤレス部やDAC+アンプ部を自分達でつくることを決め、完成品は採用しませんでした。

 この「こだわり」を実現するためにした選択は正しかったのです。

2007年4月 4日 (水)

ワイヤレス ヘッドホンをつくる その1 プレリュード

Rexwhp2_1  当社にとっての2機種目になるワイヤレス ヘッドホンREX-WHP2が今週の月曜日(4月2日)に工場から届きました。部品不足などで当初の予定より遅れましたが、現在、送信機やキャリングケースなどの付属品を揃えて化粧箱に組込んでいます。来週末には店頭でみなさんのお目(お耳)にかかることでしょう。店頭で試聴やデモを行ってくださる予定の販売店名や日時は追ってお知らせします。
 音やデザイン、フィット感は店頭で実際に現物を手に取って試聴いただくことにして、本BlogではBlogならではの話題として「ワイヤレス ヘッドホンの誕生ストーリー」を掲載しようと思います。
本日はその第一回目ですが、発売日までこの話題におつきあいください。

 当社がワイヤレス ヘッドホン(オーディオ用としてのステレオ ヘッドホンです。ハンズフリー用のヘッドセットは最初から対象外です)に興味を持ち、商品化の可能性の調査を始めたのは2000年の年末くらいからです。実際に実験を開始したのは2002年の秋頃で、そのころの試作品はMP3のデータを2.4GHzの無線で送信してヘッドホン側で受信、メモリバッファに溜めた後、MP3デコーダchipでデコードしてDAC+オーディオアンプでヘッドホンのドライバを駆動するというものでした。iPodなみの結構「いい音」がでましたが、なんせRF部、BB(ベースバンド)部、プロトコル制御用のマイコン、MP3デコーダ、DAC、アンプ、バッファRAM、ファームウェア格納用のフラッシュメモリ、それにバッテリとバッテリ制御回路が必要だったので、大きさや重さ、バッテリの持ち時間などに苦労しました。頑張って小さくしてもiPod miniくらいの大きさが限界で、バッテリの持ち時間も3,4時間でした。当時はマイコンやMP3デコーダなどは低消費電力のものが次々と登場していましたが、いかんせんワイヤレスに必須のRF+BB部が「大飯食らい」でした。
 そこで、ヘッドホンだけでなく、まず最初に据置型で外部にアンプとスピーカを接続するようなタイプから商品化し、並行してヘッドホンの実験も行うことにしました。

 この試作ヘッドホンの受信機側の構成ですが、ヘッドホンアンプのかわりにLine出力バッファを入れればAirMac Expressと同じです。また、最近SONYなどから発売されているWi-Fiネットワーク対応のワイヤレスのNet-スピーカも同じような構成です。当社のREX-Linkシリーズやこれらの商品の出発点は似たようなものですが、当社は「特別なソフトウェアをインストールしたり、ネットワークの設定をしなければならないようなオーディオ製品は音楽を聴くのが目的の人には受け入れられない」と考えて、特別なドライバをインストールする必要がなく、送信機をUSBポートに挿すだけで使えるOS標準ドライバに対応したUSB+Wireless、いつも音楽を聴いているオーディオ機器に受信機を接続するだけでPCからの音楽を聴けるということを基本コンセプトにしてきました。当社の場合はAppleやSONYとは違って、PC(Mac)本体や独自のNetworkを持っていませんので、どんなPC(Mac)やオーディオ機器と組み合わせても音楽が楽しめるということを目指すのは当然のことです。
 ただし、オーディオ アンプやスピーカだけを対象にしていたのでは、世の中に一杯ありますので機種や組合せが多すぎて、開発時の実験や音質のヒアリングテストのレファレンスに何を使えばよいのかわからなくなるということや、社内で朝から晩まで大きな音で音楽を鳴らしつづけるというわけにもゆかないので、ヘッドホンを作ろうということになったのは本Blogの3月22日掲載分で述べたとおりです。

Rexlink1_jushin_hand1_2  最初に当社が発売しワイヤレス オーディオは据置型のREX-Link1(2003年11月発売)です。昔のジュークボックスのデザインにヒントを得た円筒型のデザインを採用しましたが、カタログやWebの写真から受ける印象では、「缶ビールくらいの大きさ」に見えるようで、現物を目にされた多くの人々からは「思ったよりも小さいね」という感想をいただきました。現物は小振りの爪楊枝入れか胡椒入れくらいのカワイイ大きさです。このデザインはREX-Link2にもそのまま踏襲しました。
 
 さて、話を本題のワイヤレス ヘッドホンに戻しましょう。
 当社がワイヤレス ヘッドホンを発売したのはREX-Link1発売の一年後(2004年11月)でした。53mmのドライバーユニットを使用した密閉型高級ヘッドホンで店頭価格も¥40,000近くしました。
 当社にはヘッドホンをつくる技術力も経験も設備もありませんので、当然ヘッドホンメーカから供給を受けることになります。したがって、ワイヤレス部やDAC部、アンプ部などの実験や開発と並行してヘッドホンのユニットを探し回らなければならなくなりました。

 探し回ったお話の続きは次回で。

2007年4月 3日 (火)

REX-Link2武者修行 #1 逸品館でスピーカを買う Part 2

 逸品館では、1時間くらい販売担当の松田さんにいろいろ教えていただきました。
Airbow_2 実際に持参したVAIOからREX-Link2経由でAirBow(逸品館オリジナルブランド)の小型デジタルアンプに接続し、iTunesやMediaPlayerでのHDDからのファイル再生、CDの再生と直接転送を行いました。同じCDをCDトランスポート+セパレートDAC経由で再生した音との比較試聴などを行っていただき、Pure-Audioから見た場合の現状のREX-Link2やPCオーディオの音質面での問題点についていろいろ指摘していただきました。

その結果、特に高音域については、社内での周波数特性の測定では問題はなかったのですが、逸品館の試聴環境ではCDトランスポートや専用DACと比較すると高音域が出ていませんでした。帯域外フィルタの設定ではCDの最高音域を超えていたので問題はないと思っていたのですが、前述のとおりタイムドメインBoseのようなフルレンジ1発のスピーカで試聴していたので気づきにくかったのではないかとの指摘をいただきました。

結局、今後の試聴用(当然、タイムドメインBoseでも試聴を続けますが)として、audio proImage11というツイーター付のスピーカを逸品館で改造したものを購入しました。これならサイズも小さく、価格も40,900円でしたので現状のREX-Link2のコンセプトからも大きく外れません。

 また、これまでは「PCでオーディオ」とか「音楽を圧縮、携帯プレーヤ」とか口にするとオーディオ関係の方々から激しく拒絶されていたのですが、逸品館の松田さんからは、「現状のPCオーディオではまだまだ音質上問題はあるが、今後は音楽を楽しむ上でPCは無視できないので音質の向上に向けて努力するのは良いことだ」とのご意見をいただきました。
 これまでは、REX-Linkシリーズについてオーディオ専門店の方からご意見を頂いたことはありませんでしたが、これを機会にオーディオ専門店やオーディオマニアの方々のご意見を聞いてまわる「武者修行」を始めたいと思っています。もちろん、本Blogへのトラックバックも大歓迎です。

2007年4月 2日 (月)

REX-Link2武者修行 #1 逸品館でスピーカを買う Part 1

 REX-LinkシリーズはPCとオーディオ機器とのインターフェイスという新しいジャンルの製品です。販売は主にPCを扱っている家電量販店にお願いし